JIS B 0103:2012
ばね用語
Springs-Vocabulary

a)ばね基本
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b)用途
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c)形状
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d)構成部品又は部分
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e)設計
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f)製造
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g)試験及び検査
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ばね用語
Springs-Vocabulary

a)ばね基本
用語 |
定義 |
参考 |
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慣用語 |
対応英語 |
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ばね | たわみを与えたときにエネルギーを蓄積し,それを解除したとき,内部に蓄積されたエネ ルギーを戻すように設計された機械要素。 |
spring | |
圧縮ばね | 軸方向に圧縮荷重を負荷したとき,それに抵抗する力を生じるばね。狭義には,圧縮コイ ルばねを指す。 注記 JIS B 2704-1 及び JIS B 2704-2 参照。 |
押しばね | compression spring |
引張ばね(ひっぱりばね) | 軸方向に引張荷重を負荷したとき,それに抵抗する力を生じるばね。狭義には,引張コイ ルばねを指す。 注記 JIS B 2704-1 及び JIS B 2704-3 参照。 |
引きばね | extension spring, tension spring |
ねじりばね | 長手方向の軸まわりのねじりモーメントに抵抗する力を生じるばね。狭義には,ねじりコイ ルばねを指す。 注記 JIS B 2709-1 及び JIS B 2709-2 参照。 |
トーション | torsion spring, torsion |
線形特性ばね | 荷重とたわみとの関係が線形となるばね特性をもつばね。 | constant rate spring, linear spring |
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非線形特性ばね | 荷重とたわみとの関係が線形ではない(非線形)ばね特性をもつばね。 | variable rate spring, progressive rate spring, non- linear spring |
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定荷重ばね(ていかじゅうば ね) |
たわみが変化しても,荷重又はトルクがほとんど変化しないばね。 | constant force spring | |
組合せばね | 所要の特性を得るために,幾つかのばねを組み合わせたばね。 注記 組合せ方法には,直列法又は並列法がある。2個のばねを組み合わせたも のは,直列 2 連ばね又は並列2連ばねという。 |
combination spring | |
熱間成形ばね | ばねの成形方法による名称で,熱間で成形するばね。狭義には,熱間成形コイルばねを 指す。 |
hot formed spring, hot formed coil spring |
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冷間成形ばね | ばねの成形方法による名称で,冷間で成形するばね。狭義には,冷間成形圧縮コイルば ね,冷間成形引張コイルばねなどを指す。 |
cold formed spring, cold formed coil compression spring, cold formed coilextension spring |
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金属ばね | ばねの材料の種類による名称で,金属材料を用いたばね。 | metallic spring | |
鋼製ばね(こうせいばね) | ばねの材料の種類による名称で,鋼材料を用いたばね。 | steel spring | |
非鉄金属ばね | ばねの材料の種類による名称で,非鉄金属材料を用いたばね。 | non-ferrous spring | |
薄板ばね(うすいたばね) | ばねの材料の種類による名称で,薄い板状の材料を用いた各種形状のばね。 | flat spring | |
線ばね | ばねの材料の種類による名称で,線状の材料を用いたコイルばね。 | wire spring | |
線細工ばね (せんざいくば ね) |
ばねの材料の種類による名称で,線状の材料を用いた各種形状のばね。 | ワイヤフォーミング | formed wire spring, wire forming |
非金属ばね | ばねの材料の種類による名称で,非金属材料を用いたばね。 | non-metallic spring | |
ゴムばね | ばねの材料の種類による名称で,ゴムの弾性を利用するばね。 注記 JIS D 0111 参照。 |
rubber spring | |
流体ばね | ばねの材料の種類による名称で,気体及び/又は液体の弾性を利用するばね。 注記 JIS D 0111 参照。 |
fluid spring, hydropneumatic spring |
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空気ばね | 流体ばねの一種で,空気の弾性を利用するばね。 注記 JIS D 0111 参照。 |
air spring, pneumatic spring | |
ガスばね | 流体ばねの一種で,アルゴン,ヘリウムなど不活性ガスの弾性を利用するばね。 | gas spring, gas pressure spring |
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樹脂ばね | ばねの材料の種類による名称で,合成樹脂材料を用いたばね。 | composite spring | |
セラミックばね | ばねの材料の種類による名称で,セラミックスを用いたばね。 | ceramic spring | |
磁気ばね | ばねの機能の種類による名称で,磁気による反発力及び吸引力を利用するばね。 | 磁石ばね | magnetic spring |
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b)用途
用語 |
定義 |
参考 |
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慣用語 |
対応英語 |
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ファスナばね | 締結を目的とした,各種形状のばね。 | fastener spring | |
止め輪 (とめわ) | 軸又は穴に付けた溝にはめて,軸方向の移動を防ぐ輪状のばね。 注記 1 止め輪のうちグリップ止め輪は,溝がない軸に用いる。 |
snap ring, retaining ring | |
サークリップ | C 形止め輪のような輪状のばねの総称。 | circlip | |
C形軸用偏心止め輪 | 環状の溝をもつ軸の溝部にはめて,軸挿入部品の軸方向の移動を防ぐ円環状のばね で,内径の中心位置と外径の中心位置とが異なる止め輪。 注記 JIS B 2804 参照。 |
Cリング | C-type retaining ring (for shaft) |
C形穴用偏心止め輪 | 円筒穴内部に環状の溝をもつ穴の溝部にはめて,穴挿入部品の円筒方向の移動を防ぐ 円環状のばねで,内径の中心位置と外径の中心位置とが異なる止め輪。 注記 JIS B 2804 参照。 |
C-type retaining ring (for bore) |
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C形軸用同心止め輪 | 環状の溝をもつ軸の溝部にはめて,軸挿入部品の軸方向の移動を防ぐ円環状のばね で,内径の中心位置と外径の中心位置とが同一の止め輪。 注記 JIS B 2804 参照。 |
C-type retaining ring with uniform section (for shaft) |
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C形穴用同心止め輪 | 円筒穴内部に環状の溝をもつ穴の溝部にはめて,穴挿入部品の円筒方向の移動を防ぐ 円環状のばねで,内径の中心位置と外径の中心位置とが同一の止め輪。 注記 JIS B 2804 参照。 |
C-type retaining ring with uniform section (for bore) |
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E形止め輪 | 軸用の止め輪で,その形状が文字 Eに似ている止め輪。 注記 JIS B 2804 参照。 |
E-type retaining ring | |
グリップ止め輪 | 軸用の止め輪で,溝を付けていない軸に使用する止め輪。 | grip ring | |
ばね座金 | ボルトの緩み止めに用いるばね作用を利用した座金の総称。 注記 JIS B 1251 参照。 |
spring washer, lock washer | |
波形ばね座金 (なみがたば ねざがね) |
線材を巻いて,波形に成形したばね座金。 注記 JIS B 1251 参照。 |
waved spring washer, curved spring washer |
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波形座金 (なみがたざがね) | 円環状の薄板に波形を付けたばね座金。 | ウェーブワッシャ | waved washer, curved washer |
皿ばね座金 | 底がない皿状のばね座金。 注記 JIS B 1251 参照。 |
conical spring washer | |
歯付き座金 | 円環状の薄板にねじれた歯を付けたばね座金。内歯形,外歯形,皿形及び内外歯形が ある。 注記 JIS B 1251 参照。 |
toothed washer, toothed lock washer |
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スプリングピン | 弾性がある板を円筒状に丸め,その半径方向のばね作用を利用し,穴に打ち込んで隣 接部片を連接するピン。 注記 JIS B 2808 参照。 |
spring pin | |
溝付きスプリングピン | スプリングピンの一種で,穴に打ち込んだとき,円筒状に丸めた両端が接合しない程度 に成形したピン。端部は,両面取り及び片面取りがある。 注記 JIS B 2808 参照。 |
slotted spring-type straight pin |
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二重巻きスプリングピン | スプリングピンの一種で,円筒状に一巻き以上丸めたピン。 注記 JIS B 2808 参照。 |
coiled spring-type straight pin |
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スナップピン | 軸の径方向の孔に差し込み,軸の相対移動を防ぐピン。 | Rピン,松葉ピン | spring cotter pin, snap pin |
スナップリテーナ | 軸の溝に差し込み,軸の相対移動を防ぐリテーナ。 | だるまピン | hairpin clip, snap retainer |
ばね板ナット (ばねいたなっ と) |
薄板ばねで,パネルに差し込む挿入部及びナット部のある締結部品。 注記 挿入部のばね作用を利用して,あらかじめパネルに差し込んだ後,被保持部 品を重ねてねじ部品で締結する。 |
spring nut | |
押込みばね板ナット | 薄板ばねの中心部に,スタッドを押し込むつめをもつ締結部品。 注記 ばね作用及びつめ部の抜け止め作用によってスタッドを保持し,被保持部品 とパネルとを締結し,保 持する。 |
push-on spring nut | |
ガータスプリング | 密着巻のコイルばねの両端を連結し,環状にして締付けに用いるばね。 | garter spring, bracelet spring | |
ホースクランプ | 板状又は線状の材料を用いて環状に成形し,材料の弾性を利用してホース差込み接続 部を締め付けるばね。 |
hose clamp | |
懸架ばね (けんがばね) | 一般に,自動車,鉄道車両などの車体を支えるばね。 | suspension spring, chassis spring |
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担いばね (にないばね) | 鉄道車両などの車体を支える重ね板ばね。 | bearing spring, carriage spring |
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まくらばね | 台車枠と車体との間に用いるばね。 | bolster spring | |
軸ばね | 軸箱と台車枠との間に用いる上下方向の衝撃を緩和するばね。 | axle spring, bearing spring | |
弁ばね | 内燃機関の吸排気弁などに用いるコイルばね。 | valve spring | |
クラッチスプリング | 密着巻部分が比較的長いねじりコイルばねで,コイル部の巻締め力を利用し,巻締めの 方向にだけトルクを伝達するばね。 |
clutch spring, wrap spring | |
スタビライザ | 車体に遠心力が作用した場合の車体の横揺れを少なくするために取り付けられているば ねの総称。 注記 1 丸棒を略“U”の字の形状に成形したものが一般的で,中実の もの(中実スタビライザ)及び中空のもの(中空スタビライザ)がある。 注記 2 JIS D 0111 参照。 |
stabilizer bar, anti-roll bar, sway bar, tubular stabilizer bar |
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シートばね | 車両用の座席,いす,寝具などに用いるクッション用のばねの総称。 注記 ジグザグばね,圧縮コイルばね,たる形コイルばね,空気ばねなどが用いら れている。 |
seat spring | |
バイアスばね | コイルばね,板ばねなどを用いて外力を負荷して,2方向動作を繰り返して行わせるため に用いるばねの総称。 |
bias spring | |
摩擦ばね | 摩擦を利用して減衰を生じさせるばねの総称。 注記 竹の子ばね,輪ばね,異形断面を用いた二重巻のコイルばねなどがある。 |
friction spring |
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c)形状
用語 |
定義 |
参考 |
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慣用語 |
対応英語 |
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板ばね (いたばね) | 板状の材料を用いたばねの総称。狭義には,ばね板で構成されたばねを指す。 注記 JIS D 0111 参照。 |
leaf spring | |
重ね板ばね | ばね板を重ね合わせて構成した板ばね。 注記 JIS B 2710-1∼JIS B 2710-4 及び JISD 0111 参照。 |
leaf spring, laminated spring | |
マルチリーフスプリング | 階段状に長さの異なるばね板を重ね合わせて構成した板ばね。 | multi-leaf spring | |
テーパリーフスプリング | 他部品との取付部分を除き,ほぼ全体にわたってテーパを施してある板ばね。 注記 より均一な応力分布を得るため,放物線状にテーパを施す場合もあるので, パラボリックリーフスプリングともいう。 |
tapered leaf spring, parabolic leaf spring |
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Jリーフスプリング | J字形の板ばね。 | J-leaf spring | |
Zリーフスプリング | Z字形の板ばね。 | Z-leaf spring | |
トレーリングリーフ | エアサスペンションに用い,主にリンク機構として車軸の前側でシャシフレームとつなぐ板 ばね。 注記 エアサスペンションは,JIS D 0111 参照。 |
trailing leaf for air suspension | |
プログレッシブ重ね板ばね | 常時荷重を受けるばね(主ばね)と,荷重の増加とともに補助的に働くばね(補助ばね)と で構成した重ね板ばね。 |
progressive leaf spring, progressive rate leaf spring, variable rate leafspring |
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親子重ね板ばね | 常時荷重を受けるばね(親ばね)と荷重が増加した後に補助的に働くばね(子ばね)とで 構成した重ね板ばね。 |
two-stage progressive leaf spring |
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半だ円ばね | 半だ円のような形状をした重ね板ばね。 | semi-elliptic spring, half- elliptic spring |
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だ円ばね | だ円のような形状をした重ね板ばね。 注記 二組組み合わせたものを 2 連ばね,三組組み合わせたものを 3連ばねなど という。 |
full-elliptic spring | |
対称ばね | センタボルト又はセンタピンの位置が,スパンの中央にある重ね板ばね。 | symmetrical leaf spring | |
非対称ばね | センタボルト又はセンタピンの位置が,スパンの中央にない非対称の重ね板ばね。 | unsymmetrical leaf spring, asymmetrical leaf spring |
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FRP板ばね | 繊維強化プラスチックを用いた板ばね。 | fiber reinforced plastic leaf spring |
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GFRP板ばね | ガラス繊維を強化材とした繊維強化プラスチックを用いた板ばね。 | glass fiber reinforced plastic leaf spring |
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コイルばね | 線又は棒状の材料をら(螺)線形状に成形したばねの総称。 注記 圧縮コイルばね(JIS B 2704-1,JIS B2704-2参照),引張コイルばね(JIS B 2704-1 及び JIS B 2704-3 参照),ねじりコイルばね(JIS B 2709-1 及びJIS B 2709-2 参照)など。 |
巻きばね,つる巻きばね | coil spring, helical spring |
圧縮コイルばね | 主として,圧縮荷重を受けるコイルばね。 | helical compression spring | |
引張コイルばね (ひっぱりこ いるばね) |
主として,引張荷重を受けるコイルばね。 | helical extension spring | |
2本線引張コイルばね | 2本の線を併置した素線からなる引張コイルばね。 | double wire extension spring | |
ねじりコイルばね | 主として,ねじりモーメントを受けるコイルばね。 | helical torsion spring | |
2本線ねじりコイルばね | 2本の線を併置した素線からなるねじりコイルばね。 | double wire extension spring | |
重ね巻きねじりコイルばね | コイル部を二重にした,ねじりコイルばね。 注記 ねじりコイルばねの端末を折り返して,最初のコイル外径を内径側として,二 重にコイリングしたばね。 |
duplex torsion spring | |
円形コイルばね | 円形に巻いたコイルばねの総称。 | circular coil spring | |
円筒コイルばね | 円筒形のコイルばね。 注記 2個組み合わせたものを二重コイルばね,3個組み合わせたものを三重コイル ばねなどという。 |
cylindrical coil spring, cylindrical spring, double coil spring, triplecoil spring |
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円すいコイルばね | 円すい形のコイルばね。 | conical spring | |
鼓形コイルばね(つづみがた こいるばね) |
中央がくびれた鼓形又は砂時計形のコイルばね。 | waisted spring | |
たる形コイルばね | たる形のコイルばね。 | barrel spring | |
テーパコイルばね | 材料の直径が変化しているコイルばね。 | coil spring with tapered material |
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たる形テーパコイルばね | たる形で,材料の直径が変化しているコイルばね。 | barrel tapered coil spring | |
片絞りコイルばね | 円筒コイルばねの片側端部を円すい形に成形した圧縮コイルばね。 | beehive compression spring | |
圧縮ねじりコイルばね | 圧縮及びねじりの作用を生じさせるコイルばね。 | compression-torsion coil spring |
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圧縮アークコイルばね | コイル軸が円弧状の圧縮コイルばね。 | arc compression coil spring | |
不等ピッチコイルばね | ピッチが均一でない圧縮コイルばね。 | variable pitch spring | |
異形コイルばね | コイルの形状によるばねの総称で,円筒,円すい,鼓形及びたる形以外の形のコイルば ね。 |
irregular shaped coil spring | |
だ円コイルばね | 異形コイルばねの一種で,コイル横断面がだ円又はこれと類似の形状のコイルばね。 | elliptical coil spring | |
円形断面ばね | 材料の断面形状が円形のコイルばね。 | circular section wire spring | |
異形断面ばね | 材料の断面形状が円形以外のコイルばね。 | circular section wire spring | |
角ばね(かくばね) | 異形断面ばねの一種で,材料の断面形状が長方形又は正方形のコイルばね。 | rectangular wire coil spring, square cross-section wire spring |
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卵形断面ばね (たまごがた だんめんばね) |
異形断面ばねの一種で,材料の断面形状が卵形のコイルばね。 | egg-shaped wire coil spring, ovate wire coil spring, oval wire coilspring |
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より線ばね | より線状の材料を用いたコイルばね。 | stranded wire spring | |
コイルドウェーブスプリング | 帯状の線材を波形に成形しつつ,その谷と次の山とが接するようにコイル状に巻いた圧 縮コイルばね。 |
coiled wave spring | |
竹の子ばね | 長方形断面の材料の長辺がコイル中心線に平行な円すいコイルばね。 | volute spring | |
渦巻ばね (うずまきばね) | 平面内で渦巻形をしているばね。 | spiral spring | |
ぜんまい | 薄板状の材料を用いた渦巻ばね。 | power spring | |
接触形ぜんまい | 材料どうしが互いに接触しているぜんまい。 | motor spring | |
非接触形ぜんまい | 材料どうしが互いに接触していないぜんまい。 | non-contact-type spiral spring |
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ひげぜんまい | 計器用などに使用される,小形で精密な非接触形ぜんまい。 | hair spring | |
定荷重ぜんまい(ていかじゅ うぜんまい) |
たわみが変化しても,荷重又はトルクがほとんど変化しない密着巻のぜんまい。 | constant force spiral spring | |
トーションバー | 任意断面の棒状で,長手方向の軸まわりにねじられて使うばね。 注記 JIS D 0111 参照。 |
ねじり棒ばね | torsion bar spring |
皿ばね | 中心に穴の開いた円板を円すい状に加工した,圧縮方向にばね作用をする,底のない 皿形のばね。 注記 JIS B 2706 参照。 |
disc spring (Belleville), coned disc spring, Belleville spring |
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ダイアフラムスプリング | 皿ばねの内周側に,中心に向かう複数の舌片状のレバーを形成し,作用時には外周及 びレバー基部を支点としてばね作用をするばね。 |
diaphragm spring | |
輪ばね (わばね) | 外輪は内側に,内輪は外側に傾斜がある摩擦面をもった輪状のばねを重ね合わせたば ね。 |
ring spring | |
ジグザグばね | ジグザグ形のばね。 | Sばね | zigzag spring |
U字形ばね | U字形のばね。 | U-spring | |
金網ばね (かなあみばね) | 小径の鋼線などを編んで作った金網を圧縮成形したばね。 | メッシュスプリング | wire mesh spring |
円弧状ばね | 線又は薄板を用いた円弧状(U 字形又は双曲線状)のばねの総称。 注記 軸又は穴の溝にはめ,相手部品の相対移動を防ぐ止め輪などがある。 |
hyperbolic spring | |
円盤ばね | 外周及び内周に隔てて輪を入れ,一方を支え他方に軸線方向の荷重を加えて使用する 円盤状のばね。 注記 広義には,円盤状のばねの総称で,皿ばねなどもその一種である。 |
disc spring |
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d)構成部品又は部分
用語 |
定義 |
参考 |
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慣用語 |
対応英語 |
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主ばね (しゅばね) | プログレッシブ重ね板ばねにおいて,常時荷重を受けるばね。 | main spring | |
補助ばね | プログレッシブ重ね板ばねにおいて,荷重の増加とともに補助的に働くばね。 | auxiliary spring, second stage leaves |
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親ばね | 親子重ね板ばねにおいて,常時荷重を受けるばね。 | main spring | |
子ばね | 親子重ね板ばねにおいて,荷重が増加した後に補助的に働くばね。 | helper spring | |
ばね板 (ばねいた) | 重ね板ばねを構成する板。 | leaf, plate | |
親板 (おやいた) | 両端に荷重支持のための目玉又は取付部をもつばね板。 | main leaf, top leaf | |
全長板 (ぜんちょうばん) | スパン以上の長さをもつばね板。 | full length leaf | |
子板 (こいた) | 親板以外のばね板。 | back-up leaf | |
押さえばね板 | 親板を逆方向の荷重に対して保護するためのばね板。 | tension plate, auxiliary leaf, rebound leaf |
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リブ付き断面 | 長方形断面の幅方向の中央の,片面に溝を,片面にリブを付けたばね板の断面。 | ribbed and grooved section | |
長方形断面 | 断面形状が長方形のばね板の断面。 | rectangular section | |
溝付き断面 | 長方形断面の幅方向の中央の,片面の一部に溝を付けたばね板の断面。 | grooved section | |
こば | 板ばねの平鋼の側部の総称。 注記 こばの曲率半径を板厚のほぼ半分にとった場合を,丸こばという。 |
round edge of flat bar | |
アイリーフ | 重ね板ばねに組み込んだ目玉付きのばね板。 | eye leaf | |
ばね板端部 (ばねいたたん ぶ) |
ばね板の端部。 | 開先 | leaf end |
目玉 (めだま) | ばね板の端部を丸く巻いた部分。 | (spring) eye | |
二番巻 (にばんまき) | 親板の次のばね板の端部を,親板の目玉に沿って巻いた部分。 | second leaf wrapper | |
上巻き目玉 (うえまきめだま) | 板ばねの目玉の名称で,親板端部を上向きに丸めた目玉。 | upturned eye | |
下巻き目玉 (したまきめだ ま) |
板ばねの目玉の名称で,親板端部を下向きに丸めた目玉。 | downturned eye | |
ベルリンアイ | 板ばねの目玉の名称で,その中心が親板のほぼ中心線上になるように丸めた目玉。 | Berlin eye | |
三角開先 (さんかくかいさき) | 板ばねの子板端部の形状種類で,三角形状にトリミングしたもの。 | end trimmed with diamond point |
|
ミリタリラッパ | 板ばねの二番巻の一種で,巻いた部分が 3/4 巻の形状。 | military wrapper | |
中心穴 | 重ね板ばねにおいて,各リーフの中央部分に設けた締結用の穴。 | centre hole | |
だぼ | ばねのずれを防ぐために,ばね板の小部分を押し出したもの。 | nib | |
だぼ穴 | だぼを受けるばね板の穴。 | slit | |
センタカップ | 疲れ強さの向上を目的として,センタボルト穴の周囲を押し出したもの。 | cup centre | |
センタピン | 重ね板ばねの胴締めとばね板相互とのずれを防ぐリベット。 | centre pin | |
センタボルト | 重ね板ばねの中央部で,ばね板を締め付けるボルト。 | centre bolt | |
クリップ | 重ね板ばねのばね板が,相互に離れること及び横ずれすることを防ぐ金具。 | clip, rebound and alignment clip |
|
クリップバンド | クリップに用いる板状の部品 | clip plate | |
クリップボルト | クリップに用いるボルト。 | clip bolt | |
クリップパイプ | クリップに用いる管状の部品。 | clip pipe, spacer tube | |
ブシュ | 重ね板ばねの目玉にはめ込み,軸受の働きをする部品。 | bush, bushing | |
スペーサ | 重ね板ばねで,必要な間隔を保持するために装着する板状の部品。 | spacer | |
センタスペーサ | フレッティングコロージョン(JIS Z 2300参照)を防ぐために,重ね板ばねの中央締付部の 板間に挿入する合成樹脂製などの板状の部品。 |
centre spacer, inter-leaf liner |
|
インタリーフ | 重ね板ばねのばね板間に,全長又は部分的に挿入するゴム製,合成樹脂製などの板。 | inter-leaf liner, bearing liner | |
サイレンサ | きしみ音(JIS B 2710-1∼JIS B 2710-4参照),たたき音などの抑制のために,重 ね板ばねの先端部に付ける,又はコイルばねとばね座との間に挿入するゴム製,合成樹 脂製などの部品。 |
silencer, tip insert, liner | |
マスダンパ | 重ね板ばねの共振抑制のために,振幅の大きい部分に付けるおもり。 | mass damper | |
ダイナミックダンパ | 重ね板ばねの共振抑制のために,振幅の大きい部分に付けるダンパで,おもり,ゴムば ねなどで構成する部品。 |
dynamic damper, vibration absorber |
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胴締め(どうじめ) | 重ね板ばねのばね板を締め付ける枠形金具。 | band, backle | |
端受け(はしうけ) | だ円ばね又は機関車用半だ円ばねの両端を支える金具。 | end block | |
圧縮コイルばね端部 | 圧縮コイルばねの巻端の部分。 | end of coil compression spring |
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オープンエンド | 圧縮コイルばね端部の一種で,端末がコイル軸方向に隣りのコイルと隙間がある形状。 | open end | |
クローズドエンド | 圧縮コイルばね端部の一種で,端末がコイル軸方向に隣りのコイルと接している形状。 | closed end | |
ピッグテールエンド | 圧縮コイルばね端部の一種で,端末がコイル径方向内側に巻き込まれた形状。 | pigtail end | |
タンジェントテールエンド | 圧縮コイルばね端部の一種で,端末がコイル接線方向に伸ばされた形状。 | tangent-tail end | |
研削エンド | 圧縮コイルばね端部の一種で,コイル端面が研削された形状。 | ground end | |
テーパエンド | 圧縮コイルばね及び板ばねのばね板端部の一種で,圧延,鍛造,研削などによってテー パ加工を施した形状。 |
tapered end | |
オープンフラットエンド | 圧縮コイルばねの端部の一種で,端面が平らで,端末がコイル軸方向に隣接するコイル と隙間がある形状。 |
open flat end | |
引張コイルばね端部 | 引張コイルばねの巻端の部分。 | end of coil extension spring | |
フック | 引張コイルばねの荷重をかける鍵状の端末部分。 | hook, end loop | |
丸フック | 引張コイルばねの端部の一種で,丸形のフック。 | full loop over centre | |
半丸フック | 引張コイルばねの端部の一種で,半円形のフック。 | half loop over centre | |
Uフック | 引張コイルばねの端部の一種で,U 字形のフック。 | long round end hook over centre |
|
Vフック | 引張コイルばねの端部の一種で,V 字形のフック。 | V-hook over centre | |
角フック | 引張コイルばねの端部の一種で,角形のフック。 | rectangular hook | |
逆丸フック(ぎゃくまるふっく) | 引張コイルばねの端部の一種で,丸フックを逆にねじった形のフック。 | counter-type full loop | |
斜め丸フック | 引張コイルばねの端部の一種で,コイル外周部から斜めに成形したフック。 | inclined side hook | |
絞り丸フック | 引張コイルばねの端部の一種で,端末が絞り込まれたコイル部に成形した丸形のフッ ク。 |
tapered end with circular hook |
|
側面丸フック | 引張コイルばねの端部の一種で,コイル外周部からコイル軸線方向に成形した丸形のフ ック。 |
full loop at side | |
ねじ込みフック | 引張コイルばねの端部の一種で,ばね端末のコイル部にボルトなどをねじ込んで固定し たフック。 |
threaded plug to fit plain end spring |
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ねじ込みフックプレート | ねじ込みフックの一種で,ばね端末のコイル部にプレートをねじ込んだフック。 | hook plate with coil holes | |
コイルドインスクリュードプラ グ |
ばね端末のテーパ状に絞り込まれたコイル部に取り付けたスタッドプラグ。 | coiled-in screwed plug | |
二重フック | 引張コイルばねの端部の丸フックの一種で,ばね端末のコイル二巻をコイル中心軸線上 に,その方向へ向けたフック。 |
double loop | |
スイベルフック | 引張コイルばねの端部の一種で,ばね端末がテーパ状に絞り込まれたコイル部に取り付 けた回転可能なフック。 |
swivel hook | |
ねじりコイルばね端部 | ねじりコイルばねの巻端の部分。 | end of coil torsion spring | |
外側コイル | 二重コイルばねの外側のコイル。 | outside spring, outer spring | |
内側コイル | 二重コイルばねの内側のコイル。 | inside spring, inner spring | |
座 | ばねを据えさせる部位,相手部品などの総称。 | seat | |
研削端面 | 圧縮コイルばねの端面研削した面。 | ground face | |
コイル端末 | コイルばねのコイル状に巻いた材料の先端部。 | coil end | |
ぜんまい端部 | ぜんまいの内外の巻端の部分。 | end of power spring | |
ぜんまいケース | 動力用接触形の渦巻ばねを所定の姿に保持するケース。 | winding barrel | |
トーションバー端部 | トーションバー端の締結部。 注記 一般に有効径より端部径が大きく,セレーション加工又はスプライン加工を施 したもの,四角又は六角に据え込んだものなどがある。 |
torsion bar head | |
止め輪の開口部 | 輪状の止め輪を開閉させるために,先端どうしに隙間をもたせた端部。 | aperture of snap ring | |
スタビライザ目玉部 | スタビライザ端部の相手部品への取付部分。 | eye of stabilizer bar | |
アイブシュタイプ | スタビライザ目玉部形状の一種で,孔にブシュを通して固定する形式。 | eye bush-type | |
ゴムマウントタイプ | スタビライザ目玉部形状の一種で,ゴムブシュで目玉を挟み固定する形式。 | rubber mount-type | |
テーパアイタイプ | スタビライザ目玉部形状の一種で,テーパ状の孔に固定する形式。 | tapered eye-type | |
ボールジョイントタイプ | スタビライザ目玉部形状の一種で,ボールジョイントで固定する形式。 | ball joint-type | |
スタビライザリンク | スタビライザの目玉部と車体側とを連結するリンク。 | link of stabilizer bar | |
横ずれ防止バンド | スタビライザが横方向にずれるのを防止するために装着されるバンド又はバンド状の構 造物。 |
anti slide band | |
輪ばね外輪 | 輪ばねの外側に組み込まれる輪。 | outer ring | |
輪ばね内輪 | 輪ばねの内側に組み込まれる輪。 | inner ring |
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e)設計
用語 | 定義 | 参考 | |
---|---|---|---|
慣用語 | 対応英語 | ||
ばね特性 | ばねに加わる荷重と,それによって生じるばねのたわみとの関係。 | spring characteristics | |
線形特性 | 荷重とたわみとの関係が,線形となるばね特性。 | linear characteristics | |
非線形特性 | 荷重とたわみとの関係が,線形ではない(非線形)ばね特性。 | non-linear characteristics | |
交会点(こうかいてん) | 荷重たわみ特性が屈折している非線形特性ばねの荷重−たわみ線図において,1 段目と 2 段目との特性を延長した線上の交点。このような非線形特性ばねの例として は,2段ピッチコイルばね,プログレッシブ重ね板ばねなどがある。 |
inflection point | |
変曲点 | 非線形特性ばねの荷重−たわみ線図において,特性が変化し始める点又は終了 する点。 注記 特性の遷移部分が無視できるほど微小な場合は,交会点のことを変曲点と 呼ぶこともある。 |
transition point | |
ばね定数(ばねじょうすう) | ばねに単位変形量(たわみ又はたわみ角)を与えるのに必要な力又はモーメント。 注記 一般には,静的荷重に対する静ばね定数のことをいう。 |
spring rate, spring constant, rate of spring |
|
動ばね定数 | 自動車用懸架ばねなどのように定常的に振動しているばねに関し,実際の振動状態にお けるばね特性を表す動的荷重に対するばね定数。 注記 対角線ばね定数ともいい,一般には,15 Hz程度まで対角線ばね定数と動ば ね定数とは同じである。 |
対角線ばね定数 | dynamic spring rate |
ワインドアップ剛性 | 車体の加速度によって,走行方向とは直角な水平軸の周りに生じるねじりモーメントに対 する懸架用板ばねの剛性。 |
wind-up stiffness | |
横剛性 | ばねの通常使われる方向とは直角の方向からの荷重に対する剛性。重ね板ばねの場合 は,板幅方向の剛性。 |
transverse stiffness | |
固有振動数 | 振動系の自由振動の振動数又はばね単体が,自由振動するときの振動数。 | natural frequency | |
ヒステリシス | ばね,又はばねと周辺部品との摩擦抵抗によって,減荷時の荷重−たわみ曲線が 加荷時を下回る現象。 |
hysteresis | |
縦弾性係数 | 弾性限度内における垂直応力と垂直ひずみとの比。量記号:E,単位記号:MPa又は N/ mm2。 |
modulus of direct elasticity, Young's modulus |
|
横弾性係数 | 弾性限度内におけるせん断応力とせん断ひずみとの比。量記号:G,単位記号:MPa又 は N/mm2。 |
shear modulus, modulus of rigidity |
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荷重−たわみ曲線 | ばね特性を表す,荷重とたわみとの関係を表した曲線。 | load-deflection diagram | |
力 | 運動を起こすため若しくは緩和するために,又は系の釣り合いを保つために,ばねにか かる作用又はばねから生じる作用。 |
force, load | |
ばね荷重 | ばねに加わる荷重,又はばねから生じる荷重。 | spring load | |
指定荷重 | 使用目的から指定するばね荷重。 | specified load | |
初荷重 | ばねを機械に取り付けたとき,ばねに加わる荷重。 | initial load | |
最大荷重 | ばねに加わる最大の荷重。 | maximum load | |
静的荷重 | 時間的にほぼ変動しない荷重。 | static load, dead load | |
動的荷重 | 繰り返し変動する繰返し荷重,大きさと向きが変わる交番荷重など,時間的に変動する 荷重。 |
dynamic load | |
軸荷重 | 一般にコイル軸線方向に加わる荷重。 | axial load | |
横荷重 | ばねの通常使用する方向とは,直角の方向に加わる荷重。重ね板ばねの場合は,板幅 方向に加わる荷重。 |
transverse load | |
横方向力 | コイルばねに作用する荷重のコイル軸と直交方向との分力。横力ともいう。 | transverse force | |
偏心荷重 | コイルばねに作用する荷重の作用線がコイル軸からずれている荷重。 | eccentric load | |
ねじりモーメント | ねじりコイルばね,トーションバーなどに外力が加えられたときに,軸まわりに発生するモ ーメント。 |
トルク | torsional moment, torque |
セッチング荷重 | ばねにセッチングを施すとき,ばねに加える荷重。 | presetting load | |
たわみ | ばねに荷重,モーメントなどを加えた場合に発生する変位又は回転角。圧縮コイルばね のときは,ばね両端の相対変位をいう。重ね板ばねのときは,両目玉を結んだ線に対す るセンタボルト位置からの垂線の距離の変化をいう。トーションバーのときは,ばねの両 端の回転角をいう。ぜんまいのときは,巻回数をいう。 |
deflection | |
全たわみ | 無荷重時から最大荷重時までのばねのたわみ。圧縮コイルばねの場合は,自由高さと 密着高さとの差をいう。 |
total deflection | |
有効たわみ | ばね特性を計算する基礎になるたわみ。 | active deflection, working deflection |
|
取付高さ | 取付時のばねの高さ。 注記 取付長さともいう。 |
set height, set length | |
セッチング高さ | ばねにセッチングを施すとき,ばねを押さえる高さ。 注記 セッチング長さともいう。 |
presetting height, presetting length |
|
最大応力 | ばねに生じる最大の応力。 | maximum stress | |
最小応力 | ばねに生じる最小の応力。 | minimum stress | |
平均応力 | ばねに生じる繰返し応力の最大応力と最小応力との代数和の1/2。 | mean stress | |
応力振幅 | ばねに生じる繰返し応力の最大応力と最小応力との代数差の1/2。 | stress amplitude | |
最小最大応力比 | ばねに生じる繰返し応力の最小応力の最大応力に対する代数比。 | stress ratio | |
応力分布 | ばねに生じる応力が分布して作用する状態,又はその分布状況。 | distribution of stresses, stress distribution |
|
修正応力 | コイルばねなどの材料断面に生じる応力で,単純なねじり応力に直接せん断力,曲りばり 効果などを考慮した,応力修正係数を乗じた応力値。 |
corrected stress, corrected torsional stress |
|
セッチング応力 | ばねにセッチングを施すとき,ばねに生じる応力。 | presetting stress | |
ひずみ | 力によって生じる形及び体積の変化率。 注記 引張ひずみ,圧縮ひずみ及びせん断ひずみがある。 |
strain | |
せん断ひずみ | 物体の形状変化を表すせん断方向のひずみ。 | shear strain | |
せん断応力 | 物体に形状変化を生じさせるせん断方向の応力。 注記 圧縮コイルばねに荷重を負荷した場合,材料はねじられて材料表面にねじり によるせん断応力が発生する。このねじりによるせん断応力を,ねじり応力というときが ある。 |
shear stress, torsional stress | |
曲げ応力 | 物体に形状変化を生じさせる曲げ方向の応力。 | bending stress | |
応力−ひずみ線図 | 引張試験の全過程における試験片平行部の公称応力と伸びとの関係を表す曲線。 注記 JIS G 0202 参照。 |
stress-strain diagram, stress -strain curve |
|
ばね限界値 | 薄板ばね材料の長期クリープ変形量を,短時間に推定・評価するための特性値。 注記 JIS H 3130 参照。 |
spring deflection limit | |
破壊安全率 | ばねが破壊(降伏,疲れ)を起こす荷重(応力)と通常の使用状況下における荷重(応力) との比。 |
safety factor on margin | |
S-N線図(えす-えぬせんず) | 縦軸に応力振幅,横軸に破壊までの繰返し数(破壊せずに試験を終了した場合の繰返し 数を含む。)をとって描いた線図。 注記 JIS G 0202 参照。 |
S-N diagram, stress endurance diagram |
|
時間強度線図 | 任意の繰返し応力条件下での寿命(折損までの繰返し数)を設計段階で推定するため に,縦軸に応力振幅,横軸に平均応力をとり,適当な寿命間隔で,等寿命線を引き,表し た線図。 |
fatigue strength diagram&# 160; |
|
疲れ強さ | 疲れ限度及び時間強さの総称,又は反復する応力によって生じる破壊に耐え得る性質。 | fatigue strength | |
疲れ限度線図 | 疲れ限度が,応力振幅と平均応力との組合せ方によって,及び/又は限度の表し方によ って変化する様子を示す線図。 注記 グッドマン,ヘイ及びスミスによる疲れ限度線図がある。 |
fatigue limit diagram | |
座屈 | コイルばねに加わる圧縮荷重又はねじりモーメントがある大きさに達したとき,コイルの 軸線が急に波形,ら線形などに曲がる現象。 注記 座屈荷重は,座の拘束状態,コイルばねの縦横比などによって大きく変化す る。 |
buckling | |
胴曲り | コイルばねの軸線が,無荷重時に曲がっている状態又は荷重の増加とともに曲がる現 象。 注記 製造時の初期変形,座の相対的な位置関係,偏心荷重,座の傾きなどが原 因で発生する。 |
bowing | |
横曲り | 平鋼又はそれを使用した重ね板ばねのばね板が,長手方向に対して左右に湾曲する現 象。 |
bowing, bowing of leaf spring | |
横ずれ | 入力する荷重が大きくなった場合,車両への取付部でスタビライザの軸方向に生じるず れ。 |
slide | |
共振 | 外力の振動数がばねを含む系又はばね自身の固有振動数に近づくと,振幅が非常に大 きくなる現象。 |
resonance | |
共振振動数 | 共振しているときの振動数。 注記 共振振動数は,測定される量の性質によって異なることがある。例えば,速 度共振は,変位共振と異なる振動数のときに起き得る。紛らわしいときは,速度共振振 動数と明記する。 |
resonance frequency | |
サージング | コイルばねを加振したときのねじり衝撃波がコイル素線に沿ってばね両端間を往復する 時間と,外力の加振周期とが等しいときに生じる共振現象。 |
surging | |
減衰 | 振動系の要素又はその一部の運動に対する抵抗力によって,エネルギーが失われる現 象。 |
damping | |
たたき音 | ばねどうし又はばねと周辺部品とが,衝撃的に接触したときに生じる音。 | rattle noise | |
きしみ音 | ばねどうし又はばねと周辺部品とが,擦れ合うことによって生じる音。 | squeak noise | |
荷重低下 | 時間経過,高温,繰返したわみなどの影響によって,ばねがへたって荷重が減少する現 象。 |
load loss, loss in load | |
応力緩和 | ばねを一定の長さに伸長又は圧縮した状態に保持したとき,応力が徐々に低下する現 象。 |
リラクセーション,応力弛緩 (おうりょくしかん) |
relaxation, stress relaxation |
へたり | ばねの永久変形の総称。 注記 静的へたり,動的へたり,温間へたりなどがある。 |
spring set, permanent set in fatigue, settling |
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高温クリープ特性 | 高温において,一定の荷重の下でひずみが時間とともに増加する現象で,その温度及び 荷重の変化する過程の特性。 |
high-temperature creep characteristics |
|
孔食 | 局部腐食が,金属内部に向かって孔状に進行する腐食。 | pitting | |
腐食疲れ | 腐食と繰返し応力との相乗作用によって,金属材料に生じる強度低下。 | corrosion fatigue | |
フレッティングコロージョン | ばねどうし又は他の部材との高い面圧による接触,及び微小な相対的往復変位によって 生じる摩耗腐食現象。 |
fretting corrosion | |
応力腐食割れ | 引張応力を受ける材料が,腐食環境下で通常の破壊応力水準より低い応力で割れを生 じる現象。 |
stress corrosion cracking | |
同軸度 | 圧縮コイルばねのいずれか一方のコイル径から得られる軸線をデータム軸直線とし,そ れと同軸上になければならない他の軸線の狂いの大きさ。 注記 圧縮コイルばねのいずれか一方のコイル径をデータム円とし,その中心に対 する他方のコイル径の中心の位置の狂いの大きさを同心度という。 |
coaxiality, concentricity | |
直角度 | 端部に平たんな平面をもつ圧縮コイルばねのいずれか一方の座面をデータム平面とし, それに直角でなければならないコイル軸線の狂いの大きさ。 |
コイル外側面の傾き | perpendicularity |
平行度 | 端部に平たんな平面をもつ圧縮コイルばねのいずれか一方の座面をデータム平面とし, それに平行でなければならない他の一方の座面の狂いの大きさ。 |
parallelism | |
板端法(ばんたんほう) | ばね板から隣接するばね板への力の伝達が,板の先端だけで行われるという仮定を基 礎とする重ね板ばねの設計方法。 |
tip-contact method | |
展開法 | 重ね板ばねを,対称ばねの場合には長手方向に 2等分し,非対称ばねの場合にはスパ ン比に比例配分して,同一平面上に並べ直してできる 1 枚板のばね特性が,元の重ね 板ばねのそれに等しいとする設計方法。 |
developed leaf method | |
ワインドアップトルク | 車体の加速度によって,走行方向とは直角な水平軸の周りに生じるねじりモーメント。 注記 ワインドアップモーメントともいう。 |
wind-up torque, wind-up moment |
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板間摩擦(ばんかんまさつ) | 重ね板ばねのばね板間のしゅう(摺)動に伴って生じる摩擦。 | friction between plates | |
ニップ応力 | 重ね板ばねのニップを締め付けたとき,ばね板に生じる曲げ応力。 | nip stress | |
伝達荷重 | 板端法において板の先端に伝達する荷重。 | transfer load | |
バウンドストローク | 懸架ばねにおける,常用荷重時からバンプストッパで止まるまでの行程。 | バンプストローク | bound stroke, bump stroke |
リバウンドストローク | 懸架ばねにおける,常用荷重時からリバウンドストッパで止まるまでの行程。 | rebound stroke | |
スパン | 板ばねの荷重支持点間の距離。 | span, loaded length | |
有効スパン | 板ばねのばね特性を計算する基礎になるスパンで,荷重支持点間の長さから胴締め部, Uボルト締付け部などのばね作用をしない部分を除いたもの。 |
effective length | |
ストレートスパン | 板ばねの荷重支持点間を水平に展開した長さ。 | straight span, straight length, flat length |
|
ステップ | 重ね板ばねの隣接するばね板の長さの相違からできる段。 | step | |
反り(そり) | 重ね板ばねの最上ばね板で,使用時に引張応力を生じる面のセンタピン又はセンタボル トの位置から,両目玉中心間又は荷重支持点間を結んだ直線への垂直距離。 |
camber, opening | |
重ね板ばねの高さ | 半だ円ばねでは,その最下ばね板の使用時に圧縮応力を生じる面のセンタピン又はセ ンタボルトの位置から,両目玉中心間又は荷重支持点間を結んだ直線への垂直距離。 だ円ばねでは,胴締めの最外側面間の距離。 |
height, overall height | |
ニップ | 重ね板ばねにおいて,センタボルトなどで締め付ける前の隣接するばね板とばね板との 隙間。 |
nip | |
展開長さ | ばね製品の部材を平面状に展開したときの全長。 注記 素材に圧延,曲げなどの加工を施した場合,素材の切断長さと異なるため, それと区別して呼ぶ。 |
developed length | |
コイルばねの応力修正係数 | コイルばねの円形材料断面に生じるせん断応力は,線の湾曲及び直接せん断作用のた め,コイル内側で最大となる。この最大せん断応力を算出するために,単純なねじり応力 に乗じる係数。 |
stress correction factor | |
ワールの応力修正係数 | ワール(Wahl)の提唱したコイルばねの応力修正係数で,圧縮コイルばね,引張コイルば ねの設計計算に最もよく用いる。 注記 JIS B 2704-1 参照。 |
Wahl factor, Wahl stress correction factor |
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初張力(しょちょうりょく) | 無荷重時にコイル間が密着している引張コイルばねの,コイル間を密着させる方向に作 用している力。 |
initial tension | |
初応力(しょおうりょく) | 引張コイルばねの初張力によって,コイル材料に生じるねじり応力。 | initial stress | |
コイルばねの展開長さ | コイルばねの材料の中心線を,平面に展開したときの長さ。 | developed length of coil spring |
|
自由高さ | 無荷重時のコイルばねの高さ。ただし,引張コイルばねの場合は,自由長さという。 | free height, free length | |
自由長さ | 無荷重時のコイルばねの長さ。ただし,圧縮コイルばねの場合は,自由高さという。 | free length, free height | |
引張コイルばねの長さ | 引張コイルばねの,フックの内側間の長さ。 | length of inside hooks | |
自由角度 | 無荷重時のねじりコイルばねの,コイル両端部の相対角度。 | free angle | |
密着高さ | 圧縮コイルばねの互いに隣り合うコイルが密着したときの高さ。 注記 密着長さともいう。 |
solid height, solid length | |
コイル平均径 | コイルばねの計算式に用いる,コイル内径と外径との平均値。 | mean diameter of coil, pitch diameter |
|
コイル外径 | コイルばねの外径。 | outside diameter of coil | |
コイル内径 | コイルばねの内径。 | inside diameter of coil | |
コイル図心径 | 異形断面コイルばねの,材料断面の図心間の距離。 | mean diameter by gravitational centre of wire |
|
総巻数 | コイルばねのコイルの端から端までの巻数。 | total coils, total number of coils, total number of turns |
|
自由巻数 | コイルばねの総巻数から,両端の座巻数を引いた巻数。 | number of free coils, number of free turns |
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有効巻数 | コイルばねのばね定数の計算に用いる巻数。 注記 圧縮コイルばねの場合は,総巻数から座巻を引いた巻数となることが多い。 |
active coils, number of active coils, number of active turns |
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巻方向 | コイルばねのコイルの巻かれた方向。 | direction of helix | |
右巻 | 右ねじと同じようなコイルばねの,コイルの巻方向。 | right hand wind, right hand coiled, clockwise coil |
|
左巻 | 左ねじと同じようなコイルばねの,コイルの巻方向。 | left hand wind, left hand coiled, counterclockwise coil, anticlockwise coil |
|
座巻(ざまき) | 圧縮コイルばねの端部で,見掛け上ばねとして作用しない部分。 | end turn | |
ピッチ | コイルばねの中心線を含む断面で,互いに隣り合うコイルの中心線に平行な材料断面の 中心間距離。 |
spring pitch, pitch | |
ピッチ角 | コイルばねの材料の中心線がばねの中心線に直角な平面となす角。 | pitch angle, helix angle | |
不等ピッチ | 圧縮コイルばねのばね特性を非線形とするためなどの,ばねの均一でないピッチ。 | variable pitch | |
線間隙間 | コイルばねの中心線を含む断面で,互いに隣り合うコイルの中心線に平行な材料断面間 の隙間。 |
space between coils, opening | |
ばね指数 | コイル平均径と材料直径との比。材料が異形断面の場合は,コイル平均径と材料のコイ ル径方向の幅との比。 |
spring index | |
縦横比(たてよこひ) | コイルばねの自由高さとコイル平均径との比。 | slenderness ratio of coil spring |
|
長径 | 異形断面コイルばねに用いる材料の横断面の幅。 | width of wire cross-section | |
短径 | 異形断面コイルばねに用いる材料の横断面の厚さ。 | thickness of wire cross- section |
|
長短径比 | 異形断面コイルばねに用いる材料の横断面の幅と厚さとの比。 | aspect ratio of wire cross- section |
|
断面の倒れ角 | 無荷重時に異形断面コイルばねの材料断面の横方向軸線が,コイル中心線に対する垂 線となす角度。 |
slant angle of wire cross- section |
|
軸線 | 重ね板ばねの長手方向に板幅中心を結んだ線及びそれと直角をなす目玉の円筒中心を 通る線。 |
axis line | |
コイル間最小寸法 | 組合せばねの外側のばねの内径と内側のばねの外径との最小距離。 注記 コイルピッチの最小寸法をいう場合もある。 |
minimum distance between coils |
|
フック隙間 | 引張コイルばねのフックの開いている部分の寸法。 | hook opening | |
トーションバーの有効長さ | トーションバーのばね特性を計算する基礎となる長さで,つかみ部の影響を考慮したも の。 |
total active length of torsion bar spring |
|
巻上げトルク | ぜんまいを巻芯に巻き付ける方向に回転させるために必要なトルク。 | winding torque | |
巻戻しトルク | ぜんまいを開放する方向に回転させたときに得られるトルク。 | unwinding torque | |
余裕巻 | ぜんまいを巻芯に巻き付ける方向に回転させるとき,その回転可能な巻数(最大巻数)と 使用される範囲の巻数の上限値との差。 |
dead turns | |
予巻(よまき) | ぜんまいの自由状態から使用できる範囲の巻数の,下限値まで巻き付ける巻数。 | spare turns | |
歯付き座金の歯の高さ | ねじの緩み止め効果を上げるためにねじった歯の高さ。 注記 JIS B 1251 参照。 |
height of twisted tooth, tooth height of toothed washer |
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補正板厚 | 研削した座面をもつ皿ばねの設計計算をするときに用いる板厚。 | reduced material thickness |
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f)製造
用語 |
定義 |
参考 |
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慣用語 |
対応英語 |
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目玉巻機 (めだままきき) | ばね板の目玉を成形する機械。 | eye forming machine, eye rolling machine, eye back machine |
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カービングロール | ばね板にロールで曲率を与える機械。 | curving roll | |
成形焼入機 | 加熱したばね板をプレスで挟んで成形したまま焼入れする機械。 | bending and quenching machine |
|
バンディングプレス | 重ね板ばねの胴締めを焼きばめ(JIS R 1600 参照)するプレス。 | banding press | |
コイリングマシン | コイルばねを成形する機械。 | coiling machine, coiler | |
コイルばね焼入機 | 加熱した圧縮コイルばねを,自由高さ調節装置及び変形防止装置によってプレスしたま ま焼入れする機械。 |
quenching and sizing machine | |
エンドグラインダ | 主として,圧縮コイルばねの端面を研削する機械。 | spring end grinding machine | |
面取り研削盤 | 圧縮コイルばねの端部の外周側又は内周側の面取りを行う機械。外面取り用及び内面 取り用がある。 |
面取り機 | chamfering machine |
コイリングピン | コイルばねをコイリングマシンで成形するとき,材料に曲率を与えるために使用する工 具。 注記 コイリングマシンには,これを 1本使用する種類と2本使用する種類とがある。 |
coiling pin | |
ピッチツール | コイルばねをコイリングマシンで成形するとき,ピッチを与えるために使用する工具。 注記 コイルを押し出してピッチ付けを行うフィンガ式と,くさび形工具を押し込んで ピッチ付けを行うくさび式とがある。 |
pitch tool | |
フィードローラ | コイルばねをコイリングマシンで成形するとき,材料を送るために対をなして駆動するロー ラ。 |
feed roller | |
フィードクラッチ | 線,帯鋼などを材料としてばねを成形する成形機の一部で,材料の送りを断続する機構 部品。 |
one way clutch, feed clutch | |
フィードグリッパ | 線,帯鋼などを材料としてばねを成形する成形機の一部で,材料を保持して成形部に送 り出す部品。 |
grip feeder, gripping tool | |
心金(しんがね) | 線又は条をコイル状に成形するための心軸。 | coiling arbor, cutting mandrel | |
ワイヤガイド | コイリングマシンなどで線を成形部に送り出すときの,座屈防止及び正確な位置への搬 送・供給のための案内装置又はプレート。 |
wire guide | |
カッティングツール | コイリング後に線を切断するための刃状工具。 | cutting tool, cutter tool | |
と(砥)石 | 圧縮コイルばねの端末などの研削及び研磨を行う工具。天然石のもの及び人造研磨材 を焼結したものがある。 |
grindstone, grinding wheel, disc wheel |
|
テーパロールマシン | テーパ加工するためのロール機。 | taper rolling machine | |
フォーミングマシン | 多方向からスライドする工具によって線又は条を成形する機械。 | forming machine | |
テンションマシン | 主として,引張コイルばねのコイル部及びフック部を成形する機械。 | extension spring machine | |
トーションマシン | 主として,ねじりコイルばねのコイル部及び腕部を成形する機械。 | torsion spring machine, torsion winder |
|
フッキングマシン | 引張ばねのフック部を成形する機械。 注記 小形の種類をルーパという。 |
hooking machine | |
ストレートナ | 材料がもつ曲がり,ねじれなどのくせ及び残留ひずみを矯正又は除去する装置。 | straightener | |
ピーニングドラム | ショットピーニングを施すときの,回転式のドラム形のく(躯)体。 | peening barrel | |
ピーニングノズル | ショットピーニングを施すときの,ショットを投射する噴射口。 | peening nozzle | |
一次巻 | ぜんまいの成形方法で,材料に一定方向の曲率を与える加工。 | primary wind | |
二次巻 | ぜんまいの成形方法で,一次巻後に低温焼なましを施したぜんまいを,その曲率とは逆 の方向に再度巻き付ける加工。 注記 この目的は,ぜんまいの反発力を高め,高トルクを得ることである。 |
逆巻加工 | reverse wind |
コーナプレス | 重ね板ばねのばね板のセンタボルト穴周囲に,疲れ強さの向上を目的として行う鋭角除 去又は圧縮残留応力を付与するためのプレス加工。 |
corner pressing | |
圧入 | 重ね板ばねなどの目玉に,しまりばめとなるようにブシュを押し入れる加工。 | push-in | |
コイリング | コイルの加工工程をいい,線又は棒に指定の曲率曲げ及び指定のねじり率のねじりを与 え,コイル状に成形する加工。 |
coiling | |
密着巻 | コイルばねにおいて,互いに隣り合うコイルが密着した状態に成形する加工。 | solid coiling | |
端面研削 | 主として,圧縮コイルばねの端面を研削する加工。 注記 ばねの両端を端面研削する場合を,両端研削という。 |
end grinding, both ends grinding |
|
テーパ加工 | 重ね板ばねのばね板,コイルばねなどの線を,圧延,鍛造,研削などによってテーパ状 にする加工。 |
taper rolling, taper forging, taper grinding |
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カーリング | ばね板の端部を丸く巻き込みする加工。目玉巻きともいう。 | curling | |
シェービング | ばねなどの外周,内周などを,所定の寸法に削り取って仕上げる加工。 | shaving | |
幅落し | 重ね板ばねにおいて,親板以外の全長板などの端部を周辺部品との干渉を避けるため に,ばね板の側面を切り落とす加工。 |
side trimming | |
面取り | 素材及び製品の角を落とす加工。 | chamfer | |
クリープテンパ | 常温でばねを所定の高さまで締め付け,そのままの状態で行う低温焼なまし。 | prestress forming, creep tempering |
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プレステンパ | プレスした状態で行う焼戻し。 | press tempering | |
プレスクエンチ | 焼入れ変形を規制するために,プレスした状態で行う焼入れ。 | press quenching | |
オースフォーミング | 変形加工を伴った熱処理の方法で,鋼をAc3変態点以上に加熱し,準安定オーステナイ ト範囲まで急冷し,塑性変形加工を付与した後,急冷する処理。 |
ausforming | |
オーステンパ | 加熱してオーステナイト化した鋼を,MS点以上の適当な温度まで急冷し,この温度に保 つことによってベイナイト組織を得る熱処理。 |
austempering | |
球状化焼なまし | 塑性加工若しくは切削加工を容易にする目的,又は機械的性質を改善する目的で,鉄鋼 中の炭化物を球状化させる熱処理。 |
spheroidizing | |
低温焼なまし | 内部応力の除去又は材料の弾性限,耐力,疲れ強さなどの諸特性の改善及び形状の安 定化を目的として行う低温加熱処理。 |
low temperature annealing | |
ブルーイング | ばねの外観及び耐食性を改善するために,加熱によって表面に黄色又は青色の酸化膜 を生じさせる熱処理。低温焼なましと同じ目的の処理を示すこともある。 |
blueing | |
応力除去 | 成形その他の工程中に生じた望ましくない残留応力を,変態点以下の適当な温度に加熱 して除去する熱処理。 |
stress relief, stress relieving | |
ベーキング | ばねのひずみ除去又はめっき後の水素除去を目的として行う熱処理。 | baking | |
析出硬化 | 過飽和固溶体から炭化物,金属間化合物などの異相を析出させ,硬化させる熱処理。 注記 JIS G 0201 参照。 |
precipitation hardening | |
焼入れ | オーステナイト化温度から急冷して硬化させる処理。必ずしも硬化を目的とせず,単に急 速に冷却する操作をいうこともある。なお,オーステナイト状態で圧延を行い,その後,圧 延ライン上で直ちに行う焼入れもこれに含み,これを圧延後直接焼入れということがあ る。 注記 JIS G 0201 参照。 |
quench hardening, quenching | |
焼戻し | 焼入れで生じた組織を,変態又は析出を進行させて安定な組織に近づけ,所要の性質 及び状態を与えるために,A1点以下の適当な温度に加熱,冷却する処理。焼ならしの後 に用いることもある。 注記 JIS G 0201 参照。 |
tempering | |
焼なまし | 適当な温度に加熱し,その温度に保持した後,冷却する処理。その目的は,残留応力の 除去,硬さの低下,被削性の向上,冷間加工性の改善,結晶組織の調整,所要の機械 的,物理的又はその他の性質を得ることなどである。 注記 JIS B 6911 及び JIS G 0201 参照。 |
annealing | |
浸炭 | 鋼の表面層の炭素量を増加させるため,浸炭剤中で加熱する処理。浸炭剤の種類によ って固体浸炭,液体浸炭及びガス浸炭に分けられる。 注記 JIS G 0201 参照。 |
carburizing | |
窒化 | 鉄鋼の表面層に窒素を拡散させ,表面層を硬化する処理。方法には,アンモニア分解ガ スによるガス窒化及び青酸塩による液体窒化がある。 注記 JIS G 0201 参照。 |
nitriding | |
高周波焼入れ | 高周波電流による誘導加熱作用で加熱して行う焼入れ処理。主に,鉄鋼の任意の表面 又は部分を焼入れする場合に用いる。 注記 JIS B 6912 及び JIS G 0201 参照。 |
induction hardening | |
ショットピーニング | ショット(鋼球など)をばね表面に高速で打ち付け,主として表面層に圧縮残留応力を生じ させ,疲れ強さを向上させるために行う加工。 |
shot peening | |
ストレスピーニング | 通常のショットピーニングより高い残留応力を得るために,ばねにその使用される方向の 静的応力を与えた状態で行うショットピーニング加工。主として高強度材を用いたばねに 使用される。 |
stress peening, strain peening | |
ダブルピーニング | 表面層の効果的な残留応力分布を得るために,ショットの粒度及び投射速度を変えて,2 段階で行うショットピーニング加工。 |
2段ピーニング | double peening |
ドライホーニング | 表面の平滑化,疲れ強さ向上などを目的に,と(砥)粒を直接圧縮空気で吹き付ける表面 加工。 |
dry honing | |
液体ホーニング | ばね表面を清浄にするとともに,ばね表面層の圧縮残留応力による疲れ強さの向上を目 的に,微細な研磨材を加えた水,又はそれに適当な腐食抑制剤を加えたものを吹き付け る加工。 注記 ショットピーニングでは,変形が大き過ぎるものに適用する。 |
liquid honing | |
ホットピーニング | 通常のショットピーニングより高い残留応力を得るために,低温焼なまし温度程度で行う ショットピーニング加工。 注記 主として高強度材を用いたコイルばねに使用され,温間ピーニングともいう。 |
hot peening, warm peening | |
サンドブラスト | 表面スケール除去及び表面の清浄化を目的に,粒状の研磨剤を圧縮空気,遠心力又は その他の方法によって,ばねの表面に打ち付ける加工。 |
sand blasting | |
ショットブラスト | ショット(鋼球など)を遠心力,空気圧などを利用して金属表面に投射して,スケール,さび などを除去するとともに表面層に圧縮残留応力を生じさせる加工。 |
shot blasting | |
セッチング | ばねに,あらかじめ使用される最大値を超える荷重又はトルクを加えて,ある程度の永久 変形を生じさせ,ばねの弾性限を高めて耐へたり性及び耐久性を向上させる加工。 |
presetting, setting, prestressing, bulldozing |
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常温セッチング | 常温で行う通常のセッチング。 注記 ホットセッチングに対応する用語で,冷間セッチングともいう。 |
cold setting | |
ホットセッチング | 低温焼なまし温度程度で行うセッチング。 注記 温間セッチングともいう。 |
hot setting, warm setting | |
バレル研磨 | ばねを研磨材などと一緒に容器に入れて回転又は振動させることによって,ばり,スケー ルなどを除去する加工。ばねの表面を清浄にする効果もある。 |
barreling, barrel polishing, tumbling |
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ばり取り | 材料を切断及び切削したときに生じた,ばり及びまくれを取り除く処理。 | deburr | |
スプリングバック | 材料に力又はモーメントを加えて塑性域まで変形させた後除荷するときに,材料のもつ弾 性のために原形に戻ろうとする現象。 |
spring back | |
ストリップ | 薄板を一定の幅に裁断した帯状の材料。 | strip | |
カットワイヤショット | 所定の硬さの鋼線を切断して,円柱状にした投射材。 注記 線径と長さとの比がほぼ 1 : 1で,ショットピーニングには,角を丸めてから使 用する場合がある。 |
鋼線ショット,カットワイヤ | cut wire shot |
鋳鋼ショット | 溶鋼を噴霧することによって球形にした投射材に,更に熱処理を施したもの。 | cast steel shot |
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g)試験及び検査
用語 |
定義 |
参考 |
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慣用語 |
対応英語 |
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アークハイト | ショットピーニングの強さを示す値で,試験板(アルメンストリップ)の反りの大きさ。 | Almen arc height | |
カバレージ | ショットピーニングにおける圧痕面積と被加工物の総面積との比を百分率で表したもの。 | coverage | |
アルメンストリップ | アークハイトを測定するための試験板。 注記 幅 19 mm,長さ 76 mm 及び硬さ 46∼50 HRCで,厚さによって A 片(へ ん),C 片及び N 片がある。 |
almen strip, almen test strip | |
オーバピーニング | ショットピーニングの所定の投射時間より長い時間をかけて加工された状態。 注記 ショットピーニングには,最適加工条件がある。これより投射時間が長くなる と,疲れ強さの向上効果が減少する可能性がある。 |
over-peening | |
ストレスピーニングの初応力 | ストレスピーニングを行う場合に,あらかじめばねを使用する方向にたわませて生じさせ る静的応力。 |
initial stress of stress peening |
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ショット投射分布 | 噴射ノズル又は翼車からばねなどに投射されるショットの散布状態。 注記 投射機又はノズルの形状によって異なり,中央部と外周部とでは投射密度が 異なり,加工状態も変化する。 |
shot distribution | |
肌荒れ | ばね表面のスケールの付着,過熱による表面荒れ,さび,腐食などの表面欠陥の総称。 | rough surface | |
脱炭 | 材料の製造工程,ばねの熱間加工,熱処理などの工程で表層部の炭素濃度が低下する 現象。 注記 脱炭すると,ばねの疲れ強さが低下する。 |
decarburization | |
膨れ (ふくれ) | めっき層又は塗膜の一部が,素地又は下地層と密着しないで浮いている状態。 | blister | |
表面硬さ | 材料及び製品の表面の硬さ。 | surface hardness | |
研磨模様 | と(砥)石の粗さ,研磨速度,被加工物の材質,送り方向などによって研磨面に現れる模 様。 |
grinding mark | |
ばね特性試験 | ばね特性を測定する試験の総称。 | spring characteristics test, determination of springcharacteristics |
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試験荷重 | ばね特性を測定するために,あらかじめばねに加える静的荷重。通常1 回負荷する。 注記 JIS B 2704-1∼JIS B 2704-3 参照。 |
test load | |
長さ試験 | ばねに荷重を加え,そのときの長さ(高さ)を測定する試験。 | length test, height test | |
残留せん断ひずみ | ばねに荷重又はトルクを加えて変形させ,次に荷重又はトルクを除いたときに残るせん断 ひずみ。 |
residual shearing strain | |
高温締付試験 | 一定の高温雰囲気内で,ばねを一定の高さに締付け保持する試験。 注記 類似のものにクリープ試験がある。 |
high-temperature clamping test |
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クリープ試験 | ばね又は試験片を一定の温度に保持し,これに一定の荷重を加えて時間とともに増大す るひずみを測定する試験。 注記 引張クリープ試験,圧縮クリープ試験及びねじりクリープ試験に分けられる。 |
creep test | |
リラクセーション試験 | 全ひずみ一定条件の下で,荷重又は応力の時間的低下を測定する試験。 | relaxation test | |
疲労試験 | ばね又は試験片に,繰返し応力又は変動応力を加えて,疲れ寿命,限度などを求める試 験。 注記 試験応力の種類に応じて,ねじり,軸荷重,回転曲げ,平面曲げ疲労試験な どに分類される。 |
fatigue test | |
繰返し速度 | ばね又は試験片にかかる繰返し荷重の,単位時間当たりの繰返し数。 注記 ばねの種類及び材料によっては,繰返し速度によって寿命が異なる。 |
frequency | |
回転曲げ疲労試験 | 材料の疲れ強さを試験する方法の一つで,曲げ応力を与えた丸棒試験片又は線を軸ま わりに回転させることによって,全方向繰返し曲げを与える疲労試験。 |
rotating bending test, rotating bending fatigue test |
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疲労破壊 | 繰返し荷重を受けて発生した亀裂が進展して破壊に至る現象。 | fatigue fracture | |
延性破壊 | 大きな塑性変形の後に破壊する現象。 | ductile fracture | |
ぜい性破壊 | 塑性変形をほとんど伴わずに破壊する現象。 注記 多くは水素ぜい(脆)性[水素ぜい(脆)化]による破壊をいう。 |
brittle fracture | |
粒界破壊 | 金属の結晶粒の界面に沿って亀裂が発生し,伝ぱ(播)して破壊する現象。 | intercrystalline fracture, intergranular fracture |
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耐候性試験 | 材料,ばねなどを光,熱,風,雨などの環境下で暴露した場合の,性能又は表面状況の 劣化などを評価する試験の総称。 注記 場合によっては,耐久性試験と併せて行うこともある。 |
weathering test | |
塩水噴霧試験 | 5 %塩化ナトリウム水溶液を 35 °Cに保って噴霧させた試験装置内へばね又は試験 片を静置して,さび,膨れなどの発生状態を調べる試験。めっき,塗覆装などの表面処理 を施したもの,ステンレス鋼などに用いられる。 注記 JIS G 0202 参照。 |
salt spray testing | |
粒界腐食 | 金属の結晶粒界に選択的に生じる腐食。 注記 JIS Z 0103 参照。 |
intergranular corrosion | |
X線応力測定 | X 線回折の原理を用いて行う残留応力の測定。 注記 ばねの代表的な例としては,ショットピーニングによる圧縮残留応力の測定が ある。 |
X-ray stress measuring | |
圧縮残留応力 | ばねにショットピーニングなどを施すことによって,表面層は若干の加工硬化とともに表面 層だけが展延され,これに起因して生じる圧縮の残留応力。 |
compressive residual stress, compressive remaining stress |
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残留応力分布 | ばねの内部に残留している応力の分布状態。一般には,一様な分布をせず,特定部分 に偏って分布している。 |
distribution of residual stress, residual stress distribution |
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非破壊試験 | 材料及びばねを破壊せずに,欠陥の有無,その存在位置,大きさ,形状,分布状態など を調べる試験。 注記 JIS Z 2300 参照。 |
non-destructive testing | |
渦流探傷試験 | コイルを用いて,電気的導体であるばね材料又はばねへ時間的に変化する磁場(交流な ど)を与え,それに生じた渦電流が,欠陥によって変化するのを検出する非破壊試験方 法。電磁誘導探傷試験ともいう。 注記 JIS G 0202 参照。 |
eddy current testing, electromagnetic testing |
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浸透探傷試験 | ばね材料,ばねなどの試験体表面に,開口しているきずに浸透液を浸透させた後,拡大 した像の指示模様としてきずを観察する非破壊試験方法。染色浸透探傷試験及び蛍光 浸透探傷試験がある。 注記 JIS G 0202 参照。 |
liquid penetrant testing | |
磁粉探傷試験 | 鉄鋼材料を用いたばねなどの強磁性体を磁化し,欠陥部に生じた磁極による磁粉の付 着を利用して,欠陥を検出する非破壊試験方法。 注記 JIS G 0202 参照。 |
magnetic particle testing | |
ねじり試験 | ねじりコイルばね,トーションバー,ばね座金類などの変形又は破壊の状況を調べる試 験。 注記 ばね座金類では,粘り強さ試験ともいう。 |
twist test, toughness test |
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