JIS B 0112:1994
鍛造加工用語
Forging-Vocabulary

(1)鍛造の種類
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(2)鍛造設計
(a)工程
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(b)鍛造品
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(c)金型の設計
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(3)鋳造用材料
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(4)金型及び工具
(a)金型
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(b)自由鍛造用工具
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(5)設備
(a)切断機
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(b)加熱炉
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(c)鍛造機
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(d)附帯設備
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(e)前後処理設備
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(6)鍛造作業及び関連作業
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(7)試験及び検査
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(8)鍛造欠陥
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鍛造加工用語
Forging-Vocabulary

(1)鍛造の種類
用語 |
定義 |
対応英語(参考) |
---|---|---|
鍛造 | 工具,金型などを用い,固体材料の一部又は全体を圧縮又は打撃することによって,成 形及び鍛錬を行うこと。 |
forging |
自由鍛造 | 単純形状をした金敷及び工具を用い,材料の諸部分を,諸方向から,順に加圧して行う 鍛造。 |
open die forging, flat die forging |
火造り | 熱間での自由鍛造。 | smith forging |
型鍛造 | 金型のインプレッション内に,材料を加圧して充満させることによって成形する鍛造。ばり を出させるものと出させないものとがある。 |
closed die forging |
熱間鍛造 | 材料を加熱し,再結晶温度以上,固相線温度未満の温度範囲で行う鍛造。 | hot forging |
温間鍛造 | 通常の熱間鍛造と冷間鍛造との中間の温度で行う鍛造。 | warm forging |
冷間鍛造 | 室温又は室温に近い温度で行う鍛造。 | cold forging |
溶湯鍛造 | 金属材料の固相及び液相共存温度範囲で行う鍛造。 | liquid forging |
粉末鍛造 | 金属の圧粉体又は焼結体を荒地として用いる鍛造。 | powder metal forging, sinter forging |
複合鍛造 | 熱間,温間又は冷間鍛造工程を順に加えて行う鍛造。 | |
ロール鍛造 | 回転軸が平行で回転方向が向かい合う一対のロールに彫り型を取り付け,このロール軸 に直角な方向から棒状の材料を挿入し,通過させて行う鍛造。 |
roll forging |
クロスローリング | 回転軸が平行で面が対向移動する一対若しくは3個のロール,又は面が対向移動する一 対の平板に型を取り付け,このロール又は平板の間に丸棒状の材料を,軸が対向移動 方向と直角になるように挿入し,回転させながら局部的に材料の直径を変化させる鍛造。 |
crossrolling, wedge rolling |
ヘリカルローリング | 材料軸に対して一定の傾斜をした軸で同じ方向に回転する円すい状の3 個のロールのす きまに,丸棒状の材料を回転させながら通過させ,その際,ロールのすきまの寸法を変え ることによって,材料の直径を軸方向に変化させる鍛造。 |
helical rolling |
リングローリング | リング状の材料を,数個のロールを用いて半径方向の厚さを減らすことによって,より大 きな直径の輪に成形する鍛造。 |
ring rolling |
ディスクローリング | 円板状の材料を,中心軸の周りに回転させながら,数個のロールを用いて厚さを減らした り,増したりすることによって,所要の断面輪郭をした円板状部品に成形する鍛造。 |
disk rolling |
ロータリスウェージング | 2個以上の半径方向に動く工具又は金型によって,ビレット,棒,管などの断面積を狭め たり,形を変えたりする鍛造方法。 備考 ラジアルフォージングともいう。 |
radial forging, rotary swaging |
アプセッタ鍛造 | アプセッタによる棒材の据込み及び押出し鍛造。 | upsetting |
押出し鍛造 | 金型内に挿入した材料を加圧し,金型の穴又はすきまから,材料の一部を押出しするこ とによって成形する方法。 備考 一般には押出しと呼ぶが,長尺材を作る一次押出しと区別する際には,押出 し鍛造という。押出しは,材料の加圧方向に対する材料の流出方向によって,前方押出し 鍛造,後方押出し鍛造及び側方押出し鍛造に区別され,これらの幾つかが同時に行われ る作業を組合せ押出し鍛造という。また,鍛造品の形状によって,中実軸押出し鍛造,中 空軸押出し鍛造,容器押出し鍛造に区別される。 |
extrusion |
多ラム鍛造 | 3本以上の別方向に別々に動くラムがある鍛造機によって,同時又は順次に,材料を加 圧して行う鍛造。 |
multi-ram forging |
揺動鍛造 | 一方の金型の中心軸が,相手の金型の中心軸に対して揺れ回りながら,材料を局部的 に軸方向に圧縮,成形していく鍛造。 備考 この揺れ回る軌道が円の場合には,回転鍛造ともいう。 |
orbital forging, rocking die forging |
RR鍛造 (あーるあーる−) |
左右対称に分かれた上部,下部の金型が移動台内にセットされ,材料に力が加わるとき に,移動台のテーパ部の移動機構によって,据込みと曲げとを同時に行ことができるよう になっていて,大形クランク軸状の鍛造品を製造するための鍛造。 |
RR forging |
TR鍛造 (てぃーあーる−) |
上部金型が左右対称に分かれ,材料に力が加わるときに,リンク機構によって,据込み と曲げとを同時に行うようになっていて,大形クランク軸状の鍛造品を製造するための鍛 造。 |
TR forging |
ヘッディング | 棒材又は管材の端部を据え込んで,横断面積の大きい頭部を成形する鍛造。 | heading |
圧造 | ねじ,リベットなどを,プレス機械に取り付けた金型によって成形する鍛造。 | |
ダイホビング | ダイブロック素材に,バンチを押し込んで,必要とするインプレッションを成形する方法。 | die hobbing |
転造 | 円柱状,円管状又は円板状の材料を,その中心軸の周りに回転させて,それと回転運動 する工具との局部的な接触で生じる表面層の繰返し塑性変形によって,徐々に目的とす る形状を形成していく加工法。 備考 製品の種類によって,ねじ転造,歯車転造などという。 |
form rolling |
精密鍛造 | 組立て前の仕上げ加工が不要か,又は仕上げ代の少ない鍛造品を作る加工方法。 | close tolerance forging, precision forging, near net shapeforging |
閉そく鍛造 | 密閉鍛造の一種で,ビレットを金型内に閉じ込めてから,パンチによって材料を押し,金 型内空間を満たす成形方法。 備考 閉そく(塞)鍛造と表記してもよい。 |
core forging, flow forging |
密閉鍛造 | 最終段階で,材料のほぼ全表面が型表面によって拘束され,金型のすきまから材料をば りとしてはみ出させないようにして行う鍛造。 |
closed die forging without flash |
ノードラフト鍛造 | アルミニウム合金の型鍛造の一種で,リブ壁の抜けこう(勾)配を30'以下にするもの。 | no-draft forging |
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(2)鍛造設計
(a)工程
用語 |
定義 |
対応英語(参考) |
---|---|---|
鍛造性 | 鍛造するときの材料の加工されやすさ。 | forgeability |
変形抵抗 | 材料を,所定の形状に,永久変形させるのに要する加圧方向に直角な単位断面積当た りの力。 |
deformation resistance |
ひずみ速度 | 単位時間当たりの引張り,圧縮又はせん断ひずみの増分。 | strain ratio |
冷間圧造性 | 冷間圧造するときの材料の加工しやすさ(JIS G 0203参照)。 | cold headability |
鍛造方案 | 材料から鍛造品を作るまでに必要な変形工程及び形状の詳細な計画。 | forging process design |
体積配分 | 断面積が軸に沿って大きく変化する鍛造品を作る際に,過大なばり又は欠肉の発生を防 ぐために,その軸の各部分が分有する体積に合わせるように,材料軸の各部分の断面 積を,あらかじめ変化させる成形工程。 |
volume distribution |
断面減少率 | 成形の大きさを表す尺度の一つで,押出し,伸ばしなどを行う材料の成形前の断面積を A0,成形後の断面積を A とするとき,(A0-A)/A×100 として算出される百分率。 |
reduction in area |
高さ減少率 | 成形の大きさを表す尺度の一つで,広げ,伸ばし,据込みなどを行う材料部分の加工前 の高さをH0,加工終了時の高さを H とするとき,(H0-H)/H×100 によって算出される 百分率。 |
reduction in height |
据込み比 | 据込み座屈の起こりやすさを評価する尺度で,据込みを行う材料部分の加工前の高さを H0,直径を D0とするとき,H0/D0によって与えられる比。 |
upsetting ratio |
押出し比 | 押出し加工の程度を表す指標で,押出し前の断面積をA0,後の断面積を A とするとき, A0/Aによって与えられる比。 |
extrusion ratio |
鍛錬成形比 | 鍛錬効果を表す尺度の一つで,3方向の主ひずみ中,常に最大ひずみの方向における鍛 造前/後又は後/前の長さの比(1 より大きくなるように取る。)。 備考 JIS G 0701 参照。 |
forging ratio |
型打ち面積 | 型鍛造の際,鍛造荷重が分布される面積。通常は,インプレッションにばり道を加え,そ れを鍛造方向に垂直な面に投影してできる面積。 |
projected area |
型打ち荷重 | 型鍛造を行うために必要な力。 | forging load |
型打ち偏心荷重 | 合力が,スライド又はラムの中心から,外れて作用するような型打ち荷重(JISB 0111 参 照)。 |
eccentric load |
理論的荒地 (りろんてきあらじ) |
実際の荒地の軸に平行な面への投影形状を求めるために,断面積線図を基にして,各 部の断面と等しい円形断面の直径を,材料中心軸に直角に両側に等しく振り分けて取 り,その頂点を結んだ線の形状。 |
theoretical preform |
荒地 | 荒成形した材料。 | preform |
焼減り | 鍛造前の加熱又は鍛造後の熱処理によって表面に生じたスケールのために,鍛造品の 質量が減少すること。 また,スケールが,鍛造,ショットブラストなどによって 除去されるために,減少する質量。 |
scale loss |
つかみ代 | 鍛造の際,材料をつかむために設けた鍛造品本体以外の材料部分。 | tong hold |
材料歩留り | ばりを含まない鍛造品の質量 (M) が,それを作るために投入した材料の重 量 (M0)に占める割合で,M0/M×100 として算出される百分率。 |
stock utilization |
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(b)鍛造品
用語 |
定義 |
対応英語(参考) |
---|---|---|
鍛造図 | 鍛造品の形状を投影図法で示すと同時に,要求品質を記入した図面。 | forging drawing |
断面積線図 | 体積配分に利用するために,ばりが付いている仕上げ鍛造品又は荒地について,その軸 上の各点における断面積を縦座標に,軸上の基点からその各点までの距離を横座標に 取り,グラフに描いたもの。 |
cross section diagram |
抜けこう配 | 型鍛造における材料流れ及び型打ち直後の鍛造品の金型からの取出しを容易にするた め,鍛造品の側面を鍛造方向に対して傾けているこう配。 備考1. 抜けこう(勾)配と表記してもよい。 2.鍛造品に抜けこう配を与えるために,金型インプレッションの側面に与える傾きも,抜け こう配という。 |
draft angle |
丸み半径 | 鍛造品又は金型の角部半径及び隅部半径。 | corner and fillet radii |
ウェブ | 鍛造品の型割り面に平行で,比較的薄い部位。一般に,リブとリブ,ボスとボス又はリブと ボスとの間のつなぎになる。 |
web |
リブ | 鍛造品の型割り面に直角に突出する薄い部分。 | rib |
形状複雑度 | ハンマ及びプレス加工における鍛造品の複雑度を表す尺度。次式で計算されるSnで表 す。 Sn=鍛造品の質量(又は体積)/全体の形状に対する質量(又は体積) ここに,全体の形状に対する質量(又は体積)とは,鍛造品を内包する最小体積の 直方体又は円柱体の質量(又は体積)をいう。 備考 JIS B 0415 参照。 |
complexity of shape |
黒皮 | 鍛造したままの鍛造品の肌で,通常はスケールを取り除いた状態のもの。 | surface as forged |
ばり | 鍛造の際,過大荷重,欠肉の防止などのため,金型のすきまからはみ出させる薄い材料 部分。 |
flash |
ばり厚(−あつ) | 型鍛造品又は荒地に付いているばりのばり道部分の厚さ。 | flash thickness |
取り代 | 鍛造品において,切削又は研削によって除去する部分の厚さ。 | machining allowance |
鍛流線 | 始めの材料の長さ方向の繊維組織が,鍛造によって曲げられた模様。鍛造中の材料の 流れ及び鍛造品のじん(靱)性の推定に用いられる。 |
grain flow |
座屈 | 長柱材又は板材において,高さ方向の圧縮荷重がある値に達すると,圧縮されずに曲が って倒れてしまう現象。 |
buckling |
加工硬化 | 材料が加工されることによって,硬さが上昇する現象。 | work hardening |
残留応力 | 鍛造,圧延などの塑性加工若しくは切削,又は熱処理によって,金属材料内に不均一な ひずみが起こることのために,加工などの後に残る応力。 備考 JIS G 0201 参照。 |
residual stress |
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(c)金型の設計
用語 |
定義 |
対応英語(参考) |
---|---|---|
型割り線 | 型鍛造品の鍛造図上で,一組の金型が互いに合わさる面を示す線。 | parting line |
マッチライン | 金型において,彫込み部の心出し及び配置を行うための基準とする互いに直交する2 側 面。 |
match line, matched edge |
型彫り面 | 金型のインプレッションを彫り込む面,又はインプレッションが彫り込まれた面。 | die face |
インプレッション | 鍛造品を成形するために,金型に彫り込まれた部分。一般に,ばり道,ばりだまりを除く。 備考 彫込みともいう。 |
impression |
型当たり面 | 一対の金型の型彫り面上の彫込みがない部分で,打撃時に閉じて接触する面。 備考 当たり面,打撃面ともいう。 |
die face |
ばり道 | 仕上げ型又は荒地型のインプレッションの周りに,ばりを逃がすために,すきまを設けた 面。 |
flash land |
ばりだまり | ばり道を通ってはみ出したばりのたまり場所。 | gutter |
いんろう | 型ずれを防止するために,対になっている金型のそれぞれに設けられた凹凸。 | counter lock |
カットオフ,カットオフ型 | カットオフ作業を行う刃型。 | cutoff, cutter |
伸び尺 | 熱間鍛造において,冷却後の鍛造品を規定寸法に収めるために,熱収縮を見越して,伸 ばして目盛った型彫り用の寸法又は物指し。 |
shrink scale |
型寿命 | 製作した金型が,摩耗又は破損のため,そのままでは使えなくなるまでの間に型打ちでき る鍛造品の数量。 |
die life |
CAD(きゃど) | コンピュータを使って,グラフィックディスプレーを介する対話形式を通して,型設計を行う システム。 備考 JIS B 3000 参照。 |
computer-aided design |
CAM(きゃむ) | CADで設計した図面に従って必要なデータをそろえ,実際の型加工までを,コンピュータ を使って自動的に行うシステム。 備考 JIS B 3000 参照。 |
computer-aided manufacturing |
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(3)鋳造用材料
用語 |
定義 |
対応英語(参考) |
---|---|---|
連続鋳造鋼材 | 溶湯を鋳型で連続的に鋳造し,表層が凝固した鋳鋼を連続的に引き出して生産された鋼 材。 |
continuous cating steel bars |
冷間圧造用炭素鋼線材 | 冷間圧造炭素鋼線の製造に用いられる炭素鋼線材。炭素0.53%以下及びマンガン1.65%以 下を含有し,脱酸の方法によって,リムド鋼,キルド鋼,アルミキルド鋼などがある(JIS G 3507 参照)。 |
carbon steel wire rods for cold heading and cold forging |
非調質鋼材 | 熱間鍛造のままで十分な強度が得られる鋼材。鋼に析出強化をもたらす元素を,微量添 加する。添加元素として,Ti,Nb,Vが代表的である。 |
micro alloying steel |
ボロン鋼材 | ボロンを添加することによって,焼入れ性を高めた鋼材。ボロンの添加によって,Ni-Cr鋼 に近い焼入れ性が得られる。 |
Boron steel bars |
球状化焼なまし材 | 冷間加工性,被削性又は機械的性質を改善する目的で,鉄鋼中の炭化物を球状化する 焼なましを行った鋼材(JISG 0201参照)。 |
spheroidize-annealed steel bars |
磨き棒鋼 | 鋼材を,冷間引抜き,研削,切削又はこれらの組合せによって仕上げた棒鋼。断面の形 状は,円形,正方形,六角形などである。 備考 JIS G 0203 参照。 |
cold finished steel bars |
精密圧延鋼材 | 高性能な圧延機に鋼材を通して,鋼材径の寸法精度を上げた鋼材。 | precision rolled steel bars |
ビレット | 断面が円形の鋼片,又は断面がほぼ正方形で,通常,一辺の長さが130mm 以下の鋼 片。鍛造用として,適寸に切断した材料。 備考 JIS G 0203 参照。 |
billets |
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(4)金型及び工具
(a)金型
用語 |
定義 |
対応英語(参考) |
---|---|---|
金型 | これを材料に押し付けて成形をするために,その表面が,鍛造品の寸法,形状に合うよう な形状をした強固な金属体。上下若しくは水平方向に一対の金型又はパンチとダイとに よって構成される。 備考 ダイともいう(4102 参照)。 |
die |
ダイ | (1)成形中の材料を取り囲んで,荷重を受け止め,外側の寸法・形状を成形する金型部 品。 備考 パンチと対になる用語。 (2)金型 と同義。 |
die |
つぶし型 | 荒打ちの前工程として,主として据込みを行う金型。 | buste ; upset die |
曲げ型 | 曲げ加工を行う金型。 | bender, upset die |
荒地型 | 荒地を作る金型。 備考 荒打ち型又は荒型ともいう。 |
blocker, rougher, blocking impression |
仕上げ型 | 仕上打ち用の金型。 | finisher, finishing impression |
多数個打ち型 | 2個以上の鍛造品を同時に成形するための金型。 | multiple forging die |
コンテナ | 成形中の材料を取り囲んで,外側の最初の寸法・形状を保持させるための主として中空 円筒状の金型部品。 備考 パンチと対になる用語。 |
container |
母型(ぼがた) | 入子型をはめ込む本体の金型。 | master block, mother die |
入子型(いれこがた) | 母型の中にはめ込んで使用する部分的金型。固定式と可動式とがある。 備考 入子ともいう。 |
insert die |
締りばめ型 | 補強リングによって強度を高められた金型。 | shrink fit die |
セグメント | フォージングロールに取り付け,材料を伸ばすために,くぼみの形状が彫り込まれている 三日月形の分割金型。 |
segment |
ダイセット | 一対の金型の相対位置精度を確保するために,両金型取付けジグを,ポスト,ガイドブッ シュなどで,連絡,案内した装置。 備考 JIS B 5013 参照。 |
die set |
ダイブロック | インプレッションを彫り込むための直角六面体又は直円体のダイ素材。 備考 JIS B 6470 及び JIS B 6471 参照。 |
die block |
補強リング | 金型の強度を高めるため,金型を周囲から締め付けるために用いるリング。 | support ring |
ランド | 成形の際,材料を金型外に流出させるための平行なすきまを形作る型面部分。 備考 ばり道もランドの一種。 |
land |
シャンク | 金型を鍛造機に取り付けるために,金型の型彫り面の反対側に設けた取付け部。 | shank, dovetail |
ダウエル | 金型を鍛造機へ取り付ける際に,鍛造機と金型との心出し及び位置決めに用いるこま (駒)。 備考 こま又は合こまともいう。 |
dowel |
ダウエルホール | ダウエルをはめ込むために,金型シャンク及び鍛造機に設けた切欠き。 備考 こま(駒)穴ともいう。 |
dowel hole |
エジェクタ | 鍛造品を金型から突き出す装置。 備考 ノックアウトともいう。 |
ejector, knockout |
はし口逃げ | 材料をはしでつかんで加工する際に,はしが当たらないように設けた金型の開放部。 | gate |
つり穴 | 金型の側面などに設けたフック棒の挿入穴。 | hole for hook bar |
コッタ | 金型をプレス機械に固定するためのくさび状の金具。 | cotter |
ガイドポスト | ダイセットに用いる案内棒。 | guide post |
ダイホルダ | プレス機械などに単型又は数工程の金型を取り付けるためのジグ。 備考 ボルスタともいう。 |
die holder, bolster |
ハードプレート | 金型から受ける圧力を分散させて金型取付けジグに伝えるため,両者の間に挿入する高 強度金属板。 備考 受圧板ともいう。 |
pressure pad |
アプセッタ型 | アプセッタ用の金型。一対のグリップダイとパンチとで構成される。 | upsetting die, upsetting tool |
シャーウェーブ | ばり抜き荷重を減らすために,抜き型用ダイの切刃を波形にした部分。 | shear wave, shear angle |
抜き型 | 型鍛造品の内周又は外周にできたばりを,せん(剪)断によって取り除くために使用する 金型。雌型と雄型とで構成される。 |
trimming die |
単型 | 仕上げ形状だけを彫り込んだ金型。 | single impression die |
複式型 | 型彫り面に,せぎり,ロール,曲げ,荒地,仕上げ,カットオフなど,複数インプレッション を彫り込み,一回の加熱で仕上打ちまでを行う金型。 備考 ワンヒート型ともいう。 |
multiple impression die |
パンチ | 鍛造の際,コンテナ穴又は材料内部に入り込み,荷重を与える金型部品の総称。抜き型 パンチ,アプセッタパンチ,穴あけパンチ,押出しパンチなどがある。 備考1. コンテナ又はダイと対になる用語。 2.ポンチともいう。 |
punch |
カウンタパンチ | 前進するパンチに向かい合わせて置かれ,成形に携わるが,成形後は,エジェクタとして 駆動されるパンチ。 備考 受け型ともいう。 |
counter punch |
パンチホルダ | プレス又はアプセッタのパンチを取り付けるジグ。 備考 ポンチホルダともいう。 |
punch holder |
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(b)自由鍛造用工具
用語 |
定義 |
対応英語(参考) |
---|---|---|
工具 | 主に自由鍛造において,種々の作業(加工,ハンドリングなど)を,効果的に行うための器 具及び道具類の総称。 |
tool |
開放型 | 側面の材料流動をあまり拘束することなく,圧縮加工するための上下一組の型。 | open die |
台 | 材料の上下に直接当てて用いる比較的重量が大きな鉄鋼製の工具の総称。 | anvil |
穴抜き台 | 材料に穴をあけるために用いるもので,中心に穴があいていて,丸,角などの形をした 台。 |
punching block |
やげん台 | 主に材料に角度を付けるために用いるもので,面が V 字形に折れ込んで傾斜している 台。 |
V-block |
はちのす | 主に小物の鍛造に用いるいろいろな加工ができる台で,平台の周囲及び中央部に,切込 み,丸・角の穴がある台。 |
swage block |
金敷 | 主に鍛造機に直接固定して用いる工具の総称。 | die, anvil |
回転金敷 | 材料の幅出し,円板の鍛造などに用いる回転しながら鍛造できる金敷。 | rotary die |
移動金敷 | 鍛造中に縦及び横方向に自動的に移動できる金敷。 | movable die |
たがね | 材料の切断又はせぎりに用いる工具の総称。形状又は用途によって区分し,各種のたが ねがある。 |
chisel |
落し | 材料を切断するときに用いるたがね。丸棒落し,平板落しなどがある。 | snap |
へし | 材料を一度に,伸ばしたり,据え込んだりすることができないとき,材料にあてがって,部 分的に成形するための工具の総称。表面のならし,肉出し,伸ばし,広げ,こう(勾)配付 けなどに用いるが,曲げ加工のときにも,当てものとして用いることがある。 |
flatter |
せぎり | 材料の一部に段付けをするとき,前もって,その段差となる所に切込みを入れる工具の 総称。せぎりの形状によって,せぎり断面が異なる。 備考 6013 参照。 |
necking tool |
タップ | 材料に当てがって,主に丸い部分を作るために用いる工具の総称。ばね付きの一体型, 分割型(柄付き,固定式)などがあり,上下一対で用い,間に挟んだ材料を回しながら成 形することが多い。 |
tup |
円すいタップ | 円すい形の部分を作るときに用いるタップ。 備考1. 円すい(錐)タップと表記してもよい。 2.こう(勾)配タップともいう。 |
|
心金 | リング又は円筒状の鍛造品を作るときに,その始めの形の穴の中に入れて材料を支え, 成形する棒状,円柱状などの工具。穴広げ,中空鍛錬,中空軸押出し鍛造,内径の仕上 げなどに用いる。 |
mandrel |
はし | 材料,器具及び道具類をつかむために用いる工具の総称。先端の形によって区分し,各 種のはし名がある。 |
tong |
角はし | 主に角材を軸方向につかむために用いるもので,先端がアングルの形をしたはし。 | square tong |
ふたまた | 材料又は鍛造品を持ち運びするホーク状の棒。 | fork |
てこ棒 | (1)重い材料又は鍛造品を,金敷の上などで,前後進又は回転を容易にするための鋼 棒。支点をチェーンでつった天びん式のものもある。 (2)材料の回転を容易にするため,はしの柄の間に差し込む木製の棒。 備考 バール,レバーともいう。 |
lever |
はし輪 | はしの柄部が開かないように,柄にはめ込む輪。 | |
ポーターバー | 大物又は鋼塊からの鍛造の際に,材料の端を,その凹部に差し込んで,保持するはし。 一般に,ターニングチェーンと組み合わせて使用する。 |
portating bar |
印棒(しるしぼう) | 材料を切断したり,せぎったりする際に,その部分にあらかじめ印を付けて,位置決めを するときに用いる細い丸棒。 |
locating bar |
デレッキ | 鉄棒の先を L字状に曲げたもので,主に加熱する材料の炉の出し入れに用いる工具。 |
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(5)設備
(a)切断機
用語 |
定義 |
対応英語(参考) |
---|---|---|
ビレットシャー | 一対の刃によって,棒材にせん断力を作用させ,ビレットとする所定の長さに切断する機 械。 |
billet shear |
のこ盤 | のこ歯によって,棒材を所定の長さに切断する機械。 | sawing machine |
ガス切断装置 | 高圧,高温の燃焼ガスによって,材料を溶断する装置。 | gas cutting device |
端材処理装置(はざい-) | 材料切断機で所定の長さを得ることのできない棒材の端部を,区別して処理する装置。 | treating apparatus for discard |
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(b)加熱炉
用語 |
定義 |
対応英語(参考) |
---|---|---|
燃焼加熱炉 | 重油,灯油,ガスなどを燃料として,鍛造用材料を加熱する炉の総称。燃料の種類,炉の 形状,材料の搬送方法などによって,種々の呼び方がある。 |
furnace |
セラミックチューブ炉 | 材料はセラミックチューブの中を通る構造になっており,火力は開口部のほとんどない炉 内を循環するため,熱効率が良くなっている炉。 |
ceramic tube furnace |
誘導電気加熱炉 | 電磁コイル内に入れた鍛造用材料を,電磁誘導によって材料内に発生する渦電流が発生 させる熱によって,加熱する炉。 |
induction heater |
無酸化加熱炉 | 品物が酸化しないように,不活性ガスなどの雰囲気中で加熱する炉。 | anti-oxidation heater |
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(c)鍛造機
用語 |
定義 |
対応英語(参考) |
---|---|---|
エアハンマ | 圧縮空気をハンマシリンダの上下に供給して,ラムを上下運動させるハンマで,自由鍛造 に適した機構を備えたもの。フレームの構造によって,片フレーム式,両フレーム式のほ か,圧縮機を内蔵するものがある。 |
air hammer, pneumatic hammer |
エアドロップハンマ | 圧縮空気をハンマシリンダの上下に供給して,ラムを上下運動させるハンマで,型鍛造に 適した機構を備えたもの。 |
air drop hammer |
エアリフトドロップハンマ | ラムを引き上げるときだけ,ハンマシリンダ下部に圧縮空気を送り,ラムを下げるときは, 自由落下させるハンマ。 |
air lift drop hammer |
ドロツプハンマ | ラムが下降するときの運動エネルギーによって鍛造成形を行うハンマ。エア式,ボード式な どがある。 |
drop hammer |
ボードドロツプハンマ | 回転する一対のローラで,ラムに連結された板を挟んでつり上げ,所定の高さに達したと き,ローラを開いて,ラムを自由落下させるハンマ。 |
board drop hammer |
ベルトハンマ | ベルトによって,上型を持ち上げ,下型へ自由落下させて鍛造するハンマ。 | belt hammer |
カウンタブローハンマ | 上部ラムの下降に連動して,下部ラムが上昇し,中央の位置で,上下の金型が相打ちす る機構のハンマ。 |
counter blow hammer |
機械プレス | スライドを,クランク,エキセン,ナックル,リンク,カムなどの機構によって駆動するプレス の総称(JIS B 0111参照)。 |
mechanical press |
クランクプレス | クランク機構によってスライドを駆動するプレス(JIS B 0111参照)。 | crank press |
エキセンプレス | 偏心軸を回転させる機構によってスライドを駆動するプレス。 | eccentric press |
ナックルプレス | ナックルジョイントによってスライドを駆動するプレス。 | knuckle joint press |
トランスファプレス | トランスファ送り装置を内蔵した機械プレス(JIS B 0111参照)。 | transfer press |
スクリュープレス | ねじ機構によって 1 個のスライドを駆動するプレス(JIS B 0111参照)。 | screw press |
摩擦プレス | 摩擦力とねじ機構とによってスライドを駆動するプレス(JIS B 0111 参照)。 | friction screw press |
ビンセント型摩擦プレス | 円すい(錐)形の摩擦車によって駆動し,下型が上下運動する単動の摩擦プレス。 | Vincent friction press |
液圧プレス | 液圧によって駆動するプレスの総称(JIS B 0111 参照)。 | hydraulic press |
レバープレス | レバー機構によってスライドを駆動するプレス。 | lever press |
リンクプレス | リンク機構によってスライドを駆動するプレス。 | link press |
複動プレス | 別個に作動するインナー及びアウターの 2 個のスライドをもつプレス。 | double action press |
アプセッタ | 材料のグリップ機構と据込み機構とを備えた複動機械プレス。 備考 JIS B0111参照。 |
upset forging machine, upsetter |
電気アプセッタ | 丸棒の端の大きな体積部分をヘッディングするために,棒端を通電加熱し,これを平らな 金敷又は金型に押し付ける液圧又は空気圧プレス。 |
electric upsetter |
フォージングロール | ロール鍛造を行うための鍛造機。 | forging roll, reduce roll |
クロスロール | クロスローリングを行うための鍛造機。 | cross roll |
リングロールミル | リングローリングを行うための鍛造機。 | ring rolling mill |
スウェージングマシン | 棒又は管状の材料を,軸の周りに回転させながら,複数個のタップによって,高速度で半 径方向に打撃して,断面を縮小する鍛造機。 |
swaging machine |
ヘッダ | 長尺材料から,軸の一端が単純な頭部形状をした鍛造品を,大量生産するために,材料 の切断及び1∼数工程の据込みを主とした鍛造を行う横形自動鍛造機。 |
header |
フォーマ | 長尺材料から,長さの比較的短い鍛造品を,大量生産するために,材料切断及び多段据 込み成形を行うトランスファ式自動鍛造機。 |
former |
ツイスタ | ツイスタ加工を行うための加工機。 | twister |
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(d)附帯設備
用語 |
定義 |
対応英語(参考) |
---|---|---|
デスケーラ | 加熱によって生じたスケール(酸化鉄皮膜)を,鍛造する前に除去する装置。高圧水噴射 式,ワイヤホイール式などがある。 |
descaler |
マニプレータ | 材料をつかみ,上げ,下げ,前進,後退,回転などの操作を行う機械。 | manipulator |
ターニングチェーン | 自由鍛造で,大物材料の移動,回転を行うチェーン装置。 | turning chain |
迅速型交換装置 | 金型及び付属品をダイセットに装着し,ダイセットごと型変換をして,鍛造の型交換時間を 短縮する装置。 |
quick die changer |
アンローダ | 成形した鍛造品を鍛造機械の外に取り出す装置。 | unloader |
パーツフィーダ | 二次加工用の部品送り装置の総称で,狭義には振動式送り装置。 備考 JIS B3000参照。 |
parts feeder |
重量選別機 | ビレット又は製品を重量によって選別する装置。 | weight checker |
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(e)前後処理設備
用語 |
定義 |
対応英語(参考) |
---|---|---|
ショットブラスト機 | 遠心力又は空気の圧力で,ショット(鋼粒)を成形品に投射して,鍛造肌を清浄にする装 置。 |
shotblast |
ショットピーニング機 | 遠心力又は空気の圧力で,ショット(鋼粒)を鍛造品に投射して,表面を加工硬化させる機 械。 |
shot peening machine |
ひずみ矯正機 | 材料,鍛造品などに生じている曲がり及びねじれを矯正する機械。 | straightening machine |
酸洗い装置 | 酸類の溶液で金属面を清浄にする装置。表面きず検査,りん(燐)酸塩皮膜処理の前処理 に使用する。 |
pickling device |
りん酸塩皮膜処理装置 | 鋼,アルミニウム及びその合金などの表面に,型鍛造の潤滑又は塗装下地として,りん酸 塩の皮膜を付着させる装置。 備考 りん(燐)酸塩皮膜処理装置と表記してもよい。 |
phosphate coating device |
しゅう酸塩皮膜処理装置 | ステンレス鋼表面に,型鍛造の潤滑下地として,しゅう酸塩皮膜を付着させる装置。 備考 しゅう(蓚)酸塩皮膜処理装置と表記してもよい。 |
oxalate coating device |
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(6)鍛造作業及び関連作業
用語 |
定義 |
対応英語(参考) |
---|---|---|
シャーリング | 一組の刃の間で,せん断力を加えて行う材料の切断。 備考 棒状材料に対しては,ビレットシャーを用い,クロッピングともいう。 |
shearing, cropping |
鍛造温度 | 鍛造中の材料の温度。 | forging temperature |
成形 | 材料を所定の形状に永久変形させるために行う加工。 | forming |
鍛錬 | 材料組織の微細化,均一化を図り,材料のじん(靱)性を向上させることを主目的とした熱 間自由鍛造作業。 |
forging |
実体鍛錬 | 中実材を鍛錬し,その横断面積を減少させ,長さを増す鍛錬作業。 備考 JIS G 0701 参照。 |
solid forging |
中空鍛錬 | 中空材の穴に心金を入れて,金敷の上で半径方向から打撃し,軸方向に伸ばす鍛錬作 業。 備考 JIS G 0701 参照。 |
hollow forging, mandrel forging |
据込み鍛錬 | 中実材を据込み,その断面積を増し,長さを減少させる鍛錬作業。 備考 JIS G 0701 参照。 |
upset forging |
展伸鍛錬 | 中実体角材を 1 方向から圧縮し,圧縮方向に直角な 2方向の変形度に差を生じさせるよ うな鍛錬作業。 備考 JIS G 0701 参照。 |
drawing, cogging, swaging, flat forging |
穴広げ鍛錬作業 | 穴あけした中空材を,心金と工具との間で肉厚を減じ,中空部を拡大させる作業。 備考 JIS G 0701 参照。 |
expand forging |
わん口取り(-ぐちどり) | インゴットの押湯部を,マニプレータで扱いやすいように丸く成形する作業。 備考1. わん(椀)口取りと表記してもよい。 2.輪口取りともいう。 |
tong hold forging |
つぶし | 荒打ちの前工程で,主として据込みを行う作業。 | upset |
据込み | 材料の軸方向の全体又はある区間を,軸方向に圧縮する鍛造作業。 備考 軸の一端を据え込むときはヘッディグという。 |
upsetting |
せぎり | 工具及び金型を用いて,長軸の材料の体積配分のために,横方向に溝付けをする鍛造作 業。 |
necking |
伸ばし | 工具及び金型を用いて,材料のある部分を軸に直角方向から圧することによって,その部 分の長さを増加させる鍛造作業。 備考 鍛伸ともいう。 |
stretching, draw out, drawing down, swaging |
ギャザリング | 長軸材料の特定部分の横断面積を増加させるために,工具及び金型を用いて,周囲から 肉を寄せる作業。 |
gathering |
曲げ | 平面的に鍛造してきた材料を,最終製品形状に適合するように曲げる作業。 | bending |
ねじり | 鍛造してきた材料を,最終製品形状に適合するようにねじる作業。 | twisting |
広げ | 材料の厚み又は直径を,工具及び金型を用いて減少させ,より偏平な板状にする鍛造作 業。 |
spreading |
丸め | 工具,金型,金敷などを用いて,材料を軸の周りに回転させながら,断面を変化させる鍛 造作業。 備考 ローリングともいう。 |
rolling |
穴あけ | 材料の一部に穴をあける鍛造作業。 | punching, piercing |
自由押出し | 押し出される棒状又は管状の材料の側面を,コンテナで拘束することなしに行う軽度の押 出し鍛造。 |
open die extrusion |
型入れ鍛造 | 金敷の上に金型を置き,これに材料を入れて行う鍛造作業。 | die forging |
型打ち | 型鍛造の作業。 | closed die forging |
荒打ち | 荒地型での型打ち作業。 | preforming, blocking |
荒地取り | 仕上打ちに先立ち,自由鍛造,ロール鍛造などによって,あらかじめ荒地を作る作業。 | preforging |
荒押し | インゴットを鍛造する際,最初に,丸形,角形などに成形する作業。 | preforging, initial reduction |
荒成形 | 仕上打ち前に行う予備成形作業の総称。 | preforming |
仕上打ち | 荒地を鍛造品として仕上げる鍛造作業。 | finish forging |
ワンヒート | 材料を鍛造品として成形し終わるまでに,1回だけの材料加熱で済ませる熱間鍛造作業。 備考 一焼(ひとやき)鍛造ともいう。 |
one heat forging |
ツーヒート | 材料を鍛造品として成形し終わるまでに,2回の材料加熱を必要とする熱間鍛造作業。 な お,作業工程などの都合で,3 回焼き,4 回焼き鍛造などが行われることもある。 備考 二焼(ふたやき)鍛造ともいう。 |
twice heat forging |
肉流れ | 変形中の材料移動の状況。 | material flow |
肉上がり | 金型内の狭い部分に材料の入り込む程度。 | metal filling |
ばり抜き | 型鍛造で生じたばりを,鍛造品から切り離す作業。 | trimming |
カットオフ | 仕上打ちの終わった成形品を,一体となっている他の成形品又は材料から切り離す作業。 | cut off |
ツイスタ加工 | 材料にねじりを与えるため,特別の加工機によって行う加工。 | twist forging |
コイニング | 表面を平滑にしたり,厚さを精密に出したり,低い凹凸を付けたりするために,型を押し付 けて行う軽度の鍛造作業。 |
coining |
矯正 | 鍛造品を規定寸法内に収めるため,主に,曲げ,ねじり,肉厚調整などを行う再度の成形 作業。 |
sizing |
ばりすり | ばり抜き作業の後,鍛造品に残ったばりを,空気グラインダなどで削り取る作業。 | snagging |
型予熱 | 鍛造作業に入る前に,金型を適当な温度に予熱する作業。 | die preheating |
段取り | 生産していた製品を異種の製品に変更するために行う金型の準備及び後始末作業。 | die change |
型合せ | 鍛造機に一組の金型を固定する際,互いに位置のずれ及び傾きの生じないように,正しく 取り付ける作業。 |
die matching |
胴突き | ハンマに金型を固定するために,天井などからつり下げたしゅ(撞)木を使用して,キーを 打ち込む作業。 備考 しゅ木そのもののこともいう。 |
key driving, key driver |
型離れ | 成形後の鍛造品と型との離れ具合。 | die releasing |
くっつき | 材料が,成形後,金型に付着して取り出せないこと。 | sticking |
潤滑 | 金型面と加工中の材料との滑りを良くするために物質を与えること。 | lubrication |
スケール吹き | 鍛造作業で材料から脱落したスケールを,圧縮空気などで吹き飛ばし,鍛造品の肌又は 金型内面を傷めないためにする清掃作業。 |
scale blowing |
金焼き | 材料の加熱を担当する者。 | heater |
横座 | 一組の鍛造作業者を指揮する者。 | boss |
先手 | 横座を補佐し,工具類の取扱い,スケール吹きなどを担当する者。 | helper |
型番管理 | 金型番号別に鍛造品を管理すること。 | |
鍛造焼入れ | オーステナイト状態で鍛造をした後,そのまま直ちに行う焼入れ。鍛造を安定オーステナイ トで行うものと,準安定オーステナイト状態で行うものとの2 種類がある(JIS G 0201参照)。 |
direct quenching from forging temperature |
鍛造調質 | 所要の機械的性質を得るために,オーステナイト状態で鍛造をし,そのまま適当な冷却を 行う操作。鍛造を安定オーステナイトで行うものと,準安定オーステナイト状態で行うものと の2 種類がある。 |
direct thermal refining from forging temperature |
鍛造自熱焼ならし | オーステナイト状態で鍛造をした後,そのまま直ちに空冷する焼ならし。 備考 焼ならしについては JIS G 0201 参照。 |
direct normalizing from forging temperature |
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(7)試験及び検査
用語 |
定義 |
対応英語(参考) |
---|---|---|
限度見本 | 鍛造品のスケールきず,当てきずなどのような計量的に測定の困難な検査項目に対して, 限界を取り決めたサンプル。 備考 JIS Z8101参照。 |
criteria sample |
火花試験 | 鋼塊,鋼片,鋼材及びその他の鋼製品をグラインダを利用して研削し,発生する火花の特 徴を観察することによって,鋼種の推定又は異材の鑑別を行う試験(JIS G 0202参照)。 |
spark test for steel |
けがき検査 | 鍛造品の表面に,検査寸法を,ハイトゲージなどの器具を用いて線で引き,検査する検査 方法。 |
layout inspection, centering |
非破壊検査 | 鍛造品を破壊せずに,欠陥の有無,その存在位置,大きさ,形状,分布状態などを調べる 検査。磁粉探傷検査,超音波探傷検査,渦流探傷検査などがある。 備考 非破壊試験についてはJIS G 0202参照。 |
nondestructive inspection |
渦流探傷検査 | コイルを用いて導体に時間的に変化する磁場(交番磁界)を与え,導体に生じた渦電流 が,欠陥によって変化するのを検出する材料又は鍛造品の非破壊検査方法。 備考1. 電磁誘導探傷検査ともいう。 2.渦流探傷試験についてはJIS G 0202参照。 |
eddy current inspection, electromagnetic inspection |
磁粉探傷検査 | 鋼鍛造品など強磁性体を磁化し,欠陥部に生じた磁極に磁粉が付着することを利用して, 表面及び表面付近の欠陥を検出する非破壊検査方法。 備考 磁粉探傷試験については JIS G 0202 参照。 |
magnetic particle inspection |
超音波探傷検査 | 超音波を鍛造中に伝えたときに,鍛造品が示す音響的性質を利用して,鍛造品の内部欠 陥,材質などを調べる非破壊検査法。 備考 JIS G0202参照。 |
ultrasonic inspection |
組織試験 | 鋼の結晶粒度,非金属介在物,地きず,偏析などを,マクロ及びミクロ組織を見て調べる 試験。 備考 JIS G0202参照。 |
macrostructure and microstructure examination |
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(8)鍛造欠陥
用語 |
定義 |
対応英語(参考) |
---|---|---|
割れ | いろいろな原因によって,鍛造品に生じた裂け目の総称。 | crack |
焼割れ | 焼入れの際に,焼入れ応力によって生じた割れ。 | quenching crack |
きっ甲割れ | 鍛造品の表面に現れる比較的浅いかめの甲状の割れ。加熱条件が不適当で,特に,銅, すずなどの不純物が,結晶粒界に析出するために生じた割れ。 備考 きっ(亀)甲割れと表記してもよい。 |
crazing |
もみ割れ | 伸ばし作業において,加工度が,材質,加熱温度に対して,大きすぎる場合,中心部付近 に沿って発生する割れ。 |
forging crack |
置割れ | 鍛造又は鍛造後に焼入れ若しくは焼入れ焼戻しした鍛造品を,大気中に放置した状態で 生じた割れ。 備考 自然割れともいう。 |
season crack, delayed failure |
急熱割れ | 加熱した材料を急激に冷却する際,温度不均一によって発生した内部応力による割れ。 | rapid cooling crack |
切断割れ | 材料を切断する際,切断面上に生じた割れ。 | |
ガス切断割れ | 材料をガス切断する際,急熱,急冷によって表面応力が発生し,そのために生じた割れ。 | gas cutting crack |
トリミング割れ | ばり抜きの際,鍛造品を切断したために生じた割れ。 | |
シェブロン割れ | 冷間鍛造において,延性の低い材料を,小さな断面減少率で前方押出しするときに,押出 し材中心部に発生するくの字形の内部割れ。 |
chevron crack |
油きず | 離型材として使用した油分又はおがくずが爆発して,鍛造品の表面に生じたきず。 | |
当てきず | 鍛造品が他の製品,器具などと接触,落下などしたことによって,表面に生じたきず。 | bruise |
かぶさりきず | 鍛造品の表面に生じた肉のかぶさり。段落差の甚だしい異径軸の隅肉部などに生じやす い。 |
overlap |
かじりきず | 鍛造品の一部が,金型によって,かじり取られて生じたきず。 | galling |
ヘアクラック | 主として鋼中の水素の発生圧力などによって,偏析帯又は介在物に沿って生じた毛状の 割れ。 |
hair crack |
しわきず | 鍛造品の表面に現れるしわ状のきず。 | cold shut fold, wrinkle |
スケールきず | 鍛造品の表面にスケールが打ち込まれて生じたくぼみ。 | scale defect ; scale pit |
打込みきず | 鍛造品の表面に異物が打ち込まれて生じたくぼみ。 | |
ロールきず | 型鍛造において,丸め作業をするときに生じたきず。 | rolling defect |
材料きず | 鍛造品の表面又は内部に,材料の製造過程等で発生した欠陥が残存したために,生じた きず。 |
|
かききず | 工具と材料との焼付きによって生じた鍛造品のきず。 | fouling |
偏析きず | 主として大形鍛造品において,偏析部一次晶粒界に沿って現れる毛割れ状のきず。 | segregation crack |
砂かみ | 耐火物又はスラグが,鋼塊表層部へ融着したり,機械的に混入することによって生じたき ず。砂きずと比較して,一般に形状は大きく,局部的に群集して存在することが多い。 |
sand inclusion |
オーバーヒート | 材料の諸性質が損傷されるほどの高温度まで,材料が過熱されること。 | over heat |
バーニング | 過熱のため,粒界が溶け始めたり,酸化されたり,又は異常な組織が生じるなどによって, 回復不可能となった欠陥。 |
burning |
脱炭 | 炭素と反応する雰囲気の中で,鉄鋼を加熱したとき,表面から炭素が失われた現象。 備考 JIS G 0201 参照。 |
decarburization |
ばり残り | ばりの抜き残り。 | residua flash |
ばりかじり | 鍛造品の本体に食い込んで,ばりが,抜かれた状態。 | over trimming |
ばり返り | ばりが完全に切れず,その一部が折れ曲がって,鍛造品に残った状態。 | burr |
偏肉 | 鍛造品の断面の厚さの片寄り。 | |
偏心 | 鍛造品形状の中心の偏り。 | eccentricity |
型ずれ | 上下金型の心違いによって生じた鍛造品の食違い。 | mismatch |
ひずみ | 主として鍛造後の熱的取扱いに起因する鍛造品の所定寸法・形状からの偏り。 | distortion |
反り | 鍛造品の表面基準面からの偏り。 備考 JIS B0415参照。 |
warping |
ねじれ | 鍛造品の基準軸に対するある部分の角度のずれ。 | twist |
寸法不良 | 鍛造品の厚さ,幅,長さ,隅・角部寸法の公差外れ。 | dimensional error |
欠肉 | 鍛造図面寸法に対する厚さ,太さ,丸みなどの不足。 | underfill |
だれ | 工具などを押し込むことによって生じた材料の引け。 | shear drop ; roll over |
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